【短編】

□貴方にとって
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アナタにとって


私は所詮。






仲の良い友達だもんね。



.゜◯*.゜◯*







「なあ〜どうしよう」


ある授業後。本を読んでいた私の所へ男友達である出水が話しかけてきた。


「どうしようって…
また彼女さんと喧嘩したんですか」
「御名答!」


彼は親指を立て、どや顔をした。
何故そこでどや顔をするのか意味わからん


「今年に入って何回目ですか?喧嘩するのは」
「5回目?」
「あほ、6回目だよ」


1ヶ月に1回のペースで喧嘩してるぞ
全く…何回喧嘩すれば済むのさ…


「で、今回の喧嘩の原因は?」
「…が………した」
「ごめん、聞こえない」


大方予想はつくけど…一応、聞いておこう


「だ〜か〜ら〜彼女のケーキを食べたんだよ!!」
「出水が?」
「そうだよ!!!!!」


しょーもない
その一言に限る。


「しょーもないって何だよ!!!」
「その言葉のまんまです。」


どうやら聞こえていたようで、私の机をバシバシと叩く出水。机さんが可哀想だよ。


「で、出水はどうしたい訳?
仲直りしたいの?それとも喧嘩したまま?」
「そりゃあ…もちろん仲直りしたいけどよ…」
「けど?」
「酷い事言ったし…」


語尾の方が小さくなっていった。
普段、出水は米屋とかとはしゃいでいるけど…
彼女さんのことになると途端に奥手になる


「素直に謝ればいいんじゃないの?」
「でもよ…」


いつもの勢いはどうしたんだよ…
一発、渇を入れますか


「ふーん…出水にとって彼女さんは、所詮その程度の存在なんだ」
「…そんな訳ねえだろ!!!!!」
「だったら!!!!!」


机を叩きつけ、立ち上がり出水を見下ろす。


「さっさと彼女さんの所へ行きなさいよ!!!!!」


私が大きい声を出した事に驚いたのか、私を見上げポカンと呆気にとられたような顔をする。


「待ってると思うよ。出水のこと」
「……アイツの所へ行ってくる!」


決意したのか勢いよく立ち上がった。


「ちゃんと仲直りしなよ」
「おう!」


教室のドアを開け走っていく。
と思いきや、私の方を向いて


「相談に乗ってくれてありがと!
お前の事、好きだわ!」


太陽みたいな眩しい笑顔。
その笑顔は彼女さんに見せないとね…


◆◆


出水がいなくなって1人教室に取り残された私。
さっきまでは私の前に彼がいたのに


「好きか……」


私の気持ちを知らないでよくそんな事が言えるよね。

私も出水のこと好きなのに。

でも、私の好きは【恋愛】の方で、出水の好きは【友達】の方。


「好きだよ__」








叶わない恋でいいから


もう少しだけ


あなたのこと





好きでいてもいいですか?


_fin






占ツクで書いたものを此方にもあげました。少し書き換えてあります。
【出水=彼女持ち】が私の頭の中で出来上がっている。

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