夢
□矢車菊
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ある昼下がり。
二宮隊の隊室には隊長である二宮匡貴と隊員の辻新之助、犬飼澄晴がそれぞれくつろいでいた。
しかし、する事がなくなったのか犬飼は辻に話しかけた。
「ねー辻ちゃん。トリガーの点検って今日だっけ」
「そうですよ」
犬飼の顔を見ずに恐竜に関する図鑑を見ながら辻は答えた。
「辻ちゃんひどーい」
酷いと言っている割には棒読みな犬飼に辻は呆れてため息をつく。
「犬飼」
「は〜い」
二宮の一言で黙った犬飼。誰かが止めなければ延々に言い続けていたであろう…
そんな中、隊室のドアが開き女性らしき人が入ってきた。
『失礼します。エンジニアの都賀です。トリガーを預かりにきました』
「!」
声を聞き誰が来たのかわかった辻は図鑑から顔を上げドアの前に立つ女性を視界に入れた。
『トリガーはどちらに…』
「あ、こっちに全部ありますよー」
犬飼はテーブルの上に置いてあった3つのトリガーを都賀へと渡す。その顔はニコニコしているが何を思っているのかわからない。
『ありがとうございます。明日には返却出来ると思うのでまた来ますね。それでは』
ドアへと向かい出ようとする都賀を辻は引き止める。
「待って綾乃」
「え?」「!」
女の人とまともに話せない辻が自分から声をかけたことに犬飼は思わず驚きの声を上げる。表情にあまり変化は見られないが二宮も驚いていた。
『どうしたの?新之助』
「今日、母さんが久しぶりに家で夕飯食べないかって」
『いいの?迷惑じゃ…』
「迷惑じゃないし来てくれたら母さんが喜ぶ」
「じゃあお言葉に甘えようかな」と言い微笑んだ綾乃につられて微笑む辻。
(え、何あの空気!?付き合ってます感満載だよ!?)
1人百面相している犬飼をよそに綾乃は隊室を出て行った。
犬飼は少し嬉しそうにしている辻の背後へ近づきガッシリと肩を掴んで言った。
「あの人誰!?」