小説

□チョコよりも 譜×生
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楽屋のソファに押し倒された聖




目の前にはえりぽんのどアップ




「えりぽんっ おりて!」




「無理」




「誰か来たらどうするの」



「見せつけてやればよかよ」






どうしてこうなったかと言うと発端は30分前に遡る








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「おはようございます」




「おはよー」






次々に楽屋に入ってくるメンバーに軽く挨拶をする




ふぁぁ



今日は夜遅くまで仕事があってかなり寝不足




あくびが我慢できない



最近お仕事も増えて嬉しい反面、体の疲労は想像を絶するもので





でも今の自分ができる精一杯の事をしないとね!




頑張らなきゃ!




そう自分に喝を入れた







喝を入れたものの、眠気に耐えられず居眠りをしてしまったらしい






「譜久村さんっ譜久村さんっ」




あゆみちゃんの声で目を覚ます





トコトコ私の方にやってくるあゆみちゃんは小さくて可愛い






「今日何の日か知ってます??」





ニヤニヤと私を見てくるあゆみちゃん







えっと…





何の日だっけ?







…!!!






あ!今日は2月14日






つまりバレンタインデーだ





「譜久村さん忘れてたでしょ〜」





タメ語混じりに私をつついてくるあゆみちゃん




本当に可愛い後輩だなあ






「 はい!譜久村さんこれ!

私からのバレンタインデーです」





あゆみちゃんがドヤ顔で差し出してきたのは綺麗にラッピングされたチョコレート






生田さんが来る前に渡さないと後々大変ですから そう言われたけど





「えりぽん?」






(……これじゃ生田さんの苦労がしのばれるな…)






ん?なに?






「あゆみちゃんどうかした?」






「いえ、何でもないです!

お返しはホワイトデーでいいんで♪」





ちゃっかりお返しまで請求してあゆみちゃんははるなんの元へ行ってしまった






あゆみちゃんがくれた可愛いラッピングのされたチョコを眺めていると





「あの、譜久村さん これ…」





そんな声が聞こえてきて顔を上げた





そこには12期の姿が





「聖にわざわざ作ってくれたの!?


ありがとー!」





聖の為に作ってくれた事が嬉しくて1人1人よしよしと頭をなでる







「ふ、ふくちゃん!

うちも作ってきたっ!」





そう言って里保ちゃんも私にチョコをくれた







「ありがとう」





そう言ってチョコを受け取ったのに里保ちゃんはその場から動こうとしない





キラキラした目でずっと私を見ている








あ…もしかして…






「よしよしして欲しいの?」




そう尋ねればコンクンコンクンと目を輝かせたまま頷く里保ちゃん



頭をよしよしと撫でてあげると満足したのか、嬉しそうに飛び跳ねながらどこかへ行ってしまった





「あー!鞘師さんずるーい!


わたしも譜久村さんによしよしされたいなあ〜」





そのあゆみちゃんの言葉がきっかけで、私の元にはよしよし列とやらができてしまった






可愛いけど、眠いなあ…







ふぁぁ






あくびしながら1人1人頭を撫であげる





ちゃっかりはるなんもどぅーも優樹ちゃんも…香音ちゃんまで並んでいる










「……聖、何しようとかいな」






そんな地に響くような低い声がした方を向くと、鬼の形相をしたえりぽんが





やばい




み、みんな助けてっ




助けを求めようと振り返る








……………誰もいない








楽屋を見渡す






…………誰もいな居ない










もしかするともしかするのかな





これはまずい





非常にまずい






「…さっき何してたと?」




「あ、えっと…

よしよし会を開いてて…」







とっさに出た言葉はとてもえりぽんを誤魔化しきれる内容では無くて




そして今に至る







「チョコを貰うのは100歩、いや10000歩譲って許す。でも何で頭撫でよおと?」




ソファに押し倒されて手首を掴まれている為、身動きが取れない





「でもあれは仕方なくて…」



「言い訳は聞かん」




どうやら聖がどんなに頑張っても許してはくれないらしい




「聖はそうやって誰にでもいい顔するから周りもつけあがるっちゃん」





「聖はえりだけ見とればよか」





嫉妬してるえりぽんが何だか可愛くなってついニヤニヤしてしまう





「聖、随分と余裕やん」






いけない えりぽんを更に怒らせてしまったらしい




「そんな事無い」






やっと出たのはその一言





「聖には今何が見える?」



いきなり投げかけられた質問




何が見えるって…





「えりぽんと、壁?」





そう言うとムッとした表情をした後更に顔を近づけてくるえりぽん





ち、近い





恥ずかしくて目を逸らす




「聖こっち見て」





えりぽんの吐息がかかる




目を合わせるとえりぽんがジッと見つめてくる




聖の心臓は破裂寸前




部屋がシンとしているから、心臓の音が聞こえてちゃいそうなくらい





「今、何が見える?」


「え、えりぽん」


「他には?」





他にはって、えりぽんが近すぎて何も見えないよ…




「えりぽんしか見えないよ…」



「それでよか」




えりぽんは満足そうに微笑んだ後




「こうすればもっとえりしか見えんくなる」



そう言って私にキスをした




噛み付くような乱暴なキス





抵抗してはみるものの、腕を掴まれていてうまく抵抗できない




そうしているうちに酸素はどんどん奪われる




頭がボーッとして何も考えられない




苦しい




けど心地良い




そんなえりぽんのキスに浸っているとやっと唇が離された





「もう他の人にあんな事せんで」





そう言うとさっきとは違う、優しいキスをくれた



温かくて、幸せなキス





思わず目を細める




「…聖、可愛か」




その一言できゅんっとなる胸




「ごめんね。次から気をつけるから」





えりこそごめん そう言って掴んでいた腕を離してくれた




ぎゅっとえりぽんの背中に腕を回す






「やっとギューってできた」


そう言って腕の力を強める




「聖やめ、えり我慢できんくなる」




「……いいよ 我慢しなくて」






えりぽんが一瞬驚いた様な顔をして聖に口づけた




「誘ったのは聖やけんね。どうなっても責任とらん」






そう言ってえりぽが服の隙間から手を進入させた正にその時だった





「おはようございまーす



………す、す、すいませんでしたっ」







入ってきたのは小田ちゃんだった





バッと離れる聖達





再び閉められる扉





さっきまでしていた行為を思い出して顔が赤くなる





見られた…





小田ちゃんに見られた……







隣を見るとえりぽんもキョトンとしてて





すると他のメンバーがゾロゾロと楽屋に入ってきた





「小田ちゃんほんと勇者だよね〜」




「ね、まさか入るとは思ってなかったもん」





「だって中で何が起きてるか知らなくて…」






口々にそんなことをいいながら




恥ずかしくて下を向いていると




「…聖」




優しく名前を呼ばれて視線をそちらへ向けると






”夜までお預けやね”



耳元でそう囁かれる




「……なっ」




えりぽんは軽く微笑んだ後、


チョコより甘いのキスをくれた

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