小説

□いじけ虫 生×鞘
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「里保」


「……」






「りーほ」




「……」






さっきから呼びかけても応答がない里保




せっかく久々にホテルの部屋が一緒になったのに里保はいじけてるらしく、口をきいてくれん






しかもえりは何で里保がいじけてるか分からん







「里保、なんで怒りよおと?」




「……」





里保はベットに腰掛けたままプイっとそっぽを向いてしまった






いじけてる里保も可愛いくて、抱きしめたい衝動に駆られる





けどこのままじゃらちがあかん









「怒ってる理由えりに話してくれん?」






「……」








「えりに嫌な所あるなら言って」




里保の隣に腰掛けて、優しく問う






「えりには言えん事?」





そう尋ねれば





「……違う」





ほら






やっと口を開いてくれた里保






「ならえりに言って?」





次は里保を覗き込むように尋ねる





すると里保はうぅー と言って膝を抱えん込んでしまった







「…里保?」







「……かった…ら」





膝を抱え込んで、顔を埋めているせいで上手く聞こえん







「ごめん、聞こえんかった」











「……えりぽんが構ってくれなかったから」










なん、この可愛い生き物


そんな事でいじけてたんかいな









「今日ずっと優樹ちゃんに付きっ切りで、うちの事見てくれなかった」









「あーーーー 言いたくないのにーーー 」て言って更にギュゥっと顔を埋める里保










「里保、ごめん」






「…別に私が勝手に嫉妬してるだけだから」







うううう可愛かっ!!!






そんな事言われたらペース乱れるっちゃろ馬鹿








「でも寂しかったんやろ?」








「………うん」








「やけん、ごめん」







今だ尚、膝に顔を埋めている里保の頭を優しく撫でる







「里保に寂しい思いさせんように次から気をつけるから」







すると里保は少しだけ顔を上げて、視線をこちらへ向ける






「ほんと?」







「ほんと」









「ほんとにほんと?」






「ほんとにほんと」







そう言ってやると安心したのかニコーっと笑う里保






やっぱりえりは笑ってる里保が1番好き








「えりぽん」







「…ん?」










「…………好き」









えりの服の裾をキュッて握りながら里保は言葉を紡ぐ









ああ、本当にこの子はえりをどこまで夢中にさせるつもりなんやろ












「面倒くさいって思ったよね」








は? 思うわけなか









「里保は何にも分かってないっちゃね」







そう言うとちょっぴり不安そうに顔を歪める里保






馬鹿だなあ











「えりはどんな里保も好きやけん


それは何があっても変わらん



里保の事、面倒くさいなんて思ったこと一度も無かよ」








「ほんとに?」





もう、さっきからそればっか




そんなにえりが信じられんとかいな







「ほんと」






「ほんとにほんと?」








「ほんとにほんと」









ああ、もう









「ほんとにほんとにほん「いい加減黙りい」」






「えりぽっ…んぅ!?」





里保の言葉を遮って口づける








里保は茹でダコみたいに真っ赤








「言ったやろ、どんな里保も好きだって」








ゆっくり頷く里保







「やけん、寂しくなったらいつでも言い?


キスならいつでもしてやるけん」







「……なっ!」







また顔赤くしちゃって








「冗談やけ、本気にした?」







「そ、そんな事…!


もうえりぽんなんて知らないっ」







またまたいじけてしまう里保







このいじけ虫のお姫様を扱えるようになるにはもう少し時間がかかりそうです

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