流星群

□バースデー
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いつの間にかチヨラの腰に腕を回しているビルスが居た。



頭上から冷たく言い放たれた声に、チヨラは思わず身震いをする。



「その手を離すんだ、ウイス。」



「何故ですか?」



「いいから離せ。命令だ。」



「いくらビルス様だからって、このような命令は聞けませんねぇ。」



「「………。」」



お互い睨み合いながらの沈黙。


沈黙ほど恐ろしい物は無いな…とチヨラは心の中で思った。


ただならぬ空気に気づいたブルマが恐れることなく近寄ってきた。



「どうしたの?せっかくの私のバースデーに喧嘩なんてしないでよ?」


3人はブルマの方を向く。



『あ、ブルマ~!助けてっ』


思わず助けを求めてしまった。


「えっ!チヨラちゃん大丈夫?!ちょっとあんた達!」


チヨラの顔を見てブルマの態度は急変。

ウイスとビルスの、頬を勢い良く叩く。


「女の子を泣かせるなんてどうゆう事よ!早くその手を離しなさい!」



驚きに目を見開く3人、とその様子を見ていたベジータ。


「お、お、おいっ!ブルマ!!!」


急いでブルマの元へ駆け寄り、ビルスとウイスの方を見て構える。

攻撃が来ると思ったが、2人はチヨラを見て固まっている。

当のチヨラは、涙を流していたことに気づいていなかったらしく、涙を拭っては濡れた手を見て固まっている。



「チヨラちゃん、おいで!」



勢い良く手を引かれ、ブルマの胸に衝突。


腕の中にいたチヨラが居なくなって、ようやく動き出す2人。



「チヨラ…すいません。貴女を怖がらせるつもりはありませんでした。」


申し訳無さそうに詫びるウイス。


チヨラはブルマの腕の中で否定した。


『ううん、違う。確かに2人は怖かったけど、泣いてた理由は別にある。』


「なんだい?」

と、ビルスが問う。


少し悩んだが、意を決して口を開けた。


『嬉しかった。私に好意を抱いてくれて、感動したの。』

チヨラはにこりと微笑み、一度視線を逸らして言葉を続ける。



『その反面、どちらかを選ばないといけないって思ったら胸が苦しくなって…』



私には良くわからないや。と付け足して戯けてみせるチヨラ。



「そうね、チヨラちゃんにはまだ早いわ。」

頭を優しく撫でてそう言うと、ブルマは何か閃いたみたいだ。


「チヨラちゃん、うちで暮らさない?」


「なんで!!!」


ブルマの提案にビルスが怒鳴る。


「だって、このままの関係で一緒に暮らすなんてチヨラちゃんにとったら苦痛にしかならないでしょ?それに、距離を置くからこそ、その人の大切さに気づくものなのよ?」

 
「ぐっ」


ブルマの言う事にも一理あるな…と思い何も言えないビルス。



「ね?いい考えだと思わない?」



周りに賛同を求める。


ベジータは眉間にシワを寄せ考え込んでいる。



「良いお考えだとは思いますが…チヨラは、どうなんですか?」


ウイスはチヨラに話しかける。


ウイスの言葉を聞き、ビルスとベジータもチヨラに視線を向ける。




『私は…。』










「じゃあ、僕達はそろそろ帰るとするよ。」



「おいしい料理、ご馳走様でした。」



「いいえ。またいつでも遊びに来てちょうだいね。」


「ああ。次は、お好み焼きとか言うやつを食べてみたい。」


「わかったわ!その時は、ベジータが腕をふるってつくるわよ?」


「なんだとっ?!あ…勿論です…」



戸惑うベジータを見てクスリと笑うウイス。



「ベジータ王子、楽しみにしてるよ。……さらばだ。」


くるりと背を向きウイスの背へ触れる。



『またね~!』


「さようなら~!」


ひらひらと手を振り、光に包まれて消えていく2人を見送る。



悩んだ末、決断したのはこの地球に残るというブルマの提案。



『地球のみんな、今日から暫くの間よろしくね!』




「よろしくな!」



快く迎え入れられ、これからはブルマ宅で生活する。



毎日の様に一緒にいた2人が居なくなっる。

地球での楽しい生活が

今、始まる……










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