流星群

□食事会
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『うん、仲良しだよ?』

にかり、と笑い答えるとビルスに顎を掴まれる。

「そんな笑顔いらないよ…偽りの笑顔なんてね。」

ビルスの強い眼差しに耐えられなくなり、思わず視線を逸らすチヨラ。
その反応を良しと捉えなかったビルスは手に力を込めて言葉を吐き捨てた。

「目を逸らすな。」

いつもとは違う低音で、命令口調のビルスを恐る恐る見る。

「……っ!」

チヨラの瞳は、初めてあった時のように輝きを失っていた。
何も感じず、何も求めず。諦めきったその瞳に見つめられ、思わず手を引っ込めた。

『破壊の神、ビルス…。』

ポツリと呟くと目を閉じる。

深呼吸をして目を開けると、その瞳の色はいつもとは違い蒼色だった。

スッと、指を指し口を開いた。

『あなたを地獄へと誘いましょう。』

ニヤリと口を歪ませて言い切った。

『ヤドレ。』


ビルスは蒼い光に包まれ、光が晴れると姿はなかった。


その光景を呆然と見終えて目を見開いた。

『な…なんてことをっ…!』

ワナワナと手を震わせてテーブルを叩いた。

ガタンと大きな音と共にグラスが倒れ、それは床へ落ち悲鳴なような音と共に砕けた。

破片は足へ刺さり、そこからは血が流れる。

『レッド。』

一人の少女の名前を呟くと、再び瞳の色を染める。

『あなたに会いに、大切な人を取り戻す為に地獄へ…』

蒼い光に包まれる中後ろを振り返る。
先程ウイスが進んでいった道。

『短い間だったけど、ありがとう…』

そう言い残すとチヨラは姿を消した。
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