流星群
□バースデー
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『誕生日パーティー?』
湖の前に三人の姿。
「ええ。本日、8月18日はブルマさんのお誕生日なんですよ。」
「パーティーがあるんだよ!今すぐ行くぞ、地球に!」
ビルスはサッとウイスの後ろへ立ち背中に触れる。
「ではチヨラは此方に。」
「違う、こっちだ!」
ウイスとビルスは同時に手を差し出す。
『えーっと…』
「ほら、困っているではありませんか。ビルス様は後ろで私に掴まっていればいいのですよ。手を引いてください。」
笑顔で話すウイスに、目を細めて怒り気味に話すビルス。
「ウイス、お前が手を引けばいいだろ。チヨラは僕のものだ。」
「何をおっしゃいます。チヨラはものではありません。」
「うるさい!お前は黙ってろ!」
「先程からお前、お前と…。躾をし直す必要がありそうですねぇ。」
悪くなる空気にチヨラはある事をひらめく。
『こうすればいいんだよ!』
瞳を蒼く光らせ、言い放つ。
『私達を地球へ!』
「便利だね、その力」
ビルスは呆れたように周りを見渡す。
『無事到着だね!ブルマー!』
遠くに立つブルマの元へ駆け寄る。
今すぐこの二人から、この空気から開放されたかったから。
「あら!チヨラちゃんじゃない!いらっしゃい」
勢い良く抱きついて笑顔を見せる。
『お誕生日おめでとう!』
「ありがとう。」
「ママ?その人誰?」
ブルマの傍らに立つ少年が不思議そうに見上げてくる。
「あらトランクス。人に名前を聞く前に自分が名乗りなさい」
「あ、そうだった!僕はトランクスだよ!お姉さんは?」
『私はチヨラ。ブルマの子供…?』
「そうよ?私に似て綺麗な顔でしょ?ふふふ。じゃあチヨラ、他のみんなも紹介するわね。」
ブルマに連れられ、舞台へ上がる。
『えーっと、ビルス様とウイスさんと一緒に暮らしてるチヨラです!以後、お見知りおきを。』
深々とお辞儀をすると拍手が送られた。
1通り挨拶を交わし、最後の人物の元へ進む。
『こんにちは。』
「こんにちは。デンデと言います。」
握手を交わす。
『君が地球の神様で…ナメック星人。』
「あなたは…!!」
デンデは目を見開く。
『なにも言わないで…お願い。』
チヨラは困ったように笑い、ひらひらと手を振りその場を後にする。
デンデはチヨラの後ろ姿を見つめ、震える手を握りしめた。
チヨラは、ビルスとウイスが座るテーブルへと足を進める。
「やっと来たみたいだね。」
ビルスはチヨラを睨んでそう言った。
『人が沢山いたからね~!挨拶するだけで大変だったよ。』
伸びをしてビルスとウイスの間の椅子に座る。
『ウイスさんのそれは何?』
「綿菓子ですよ。」
『綿菓子って言うんだ!』
目を輝かせて綿菓子を見つめるチヨラを見てウイスは自然と口元が緩む。
「一口食べてみますか?」
ウイスの提案にチヨラは顔を上げて勢い良く頷く。
『食べる!食べてみたい!』
「ほっほっほ。どうぞ?」
ウイスが持つ綿菓子にかぶりつく。
『んんっ何これ!!甘くて美味しいっ』
「…美味しいの?」
『美味しいよ、ビルス様!』
「じゃあウイス、僕にも一口。」
大きく口を開けて一口。
「うん!なかなか美味!」
カッと目を開けて美味しそうに食べる。
「まぁ、ビルス様。全部食べなくても良いじゃありませんか。」
「なんだよ、一口しか食べてない」
「一口が大きいのですよ。」
「元々少なかった!!!」
『喧嘩はダメだよ!ねぇウイスさん、綿菓子取りに行こ!』
ね?と顔を覗きこまれ、ウイスは立ち上がる。
「そうですね。行きましょうか」
チヨラの手を取り立ち上がらせると、ビルスを見下しフンッとそっぽを向く。
それを見てビルスもフンッとそっぽを向いた。