読み物 けれど空は蒼シリーズ(乾海)2016/4/11完結


□10・真打登場 
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海堂の越前との出会いは最悪だった。
異例とも言える一年のランキング戦参加に面白くないと思ったことと、一年には負けられないというプレッシャー。
自慢のスネイクを返され、スタミナすら危うい状態。
そして敗北。
海堂はとんでもない一年が現れたと思った。
生意気なしゃべり方に苛立つこともあったが、しかし、決して嫌悪の対象にはならなかった。
遠い昔の記憶。

「桃は越前のためにスポーツトレーナーを目指してるんだ」

乾の渡米の話がでる、ひと月前の会話。
乾から聞いたその時、海堂は、初めて桃城の越前への気持ちを知った。

「あいつならなりますよ」

そう言って、乾から桃城との間柄を散々羨ましがられ、焼きもちをやかれ、甘えられた。
半年ほど前の記憶。


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