読み物 (乾海) 


□17・食べる食べる時食べるなら
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入学当初から、その容姿でクラスどころか他の学年、教師の中でも一目置かれていた海堂。

鋭い眼つきに、無口で不愛想。

誰だって、敬遠するのは必至だ。
しかし、転機は最初の調理実習だった。
オムレツをいとも簡単に作ってのけたのだ。
こんなこと、海堂にとっては至極簡単なことで、なぜみんなが驚くのか疑問に思うほどだった。
調理の次は裁縫で、手縫いからミシンから手際よくこなし、家庭科の教師をうならせた。
あの、完璧な母親に子どもの頃から手ほどきを受けたのである。出来ないわけがない。
しかも、小学校からの友人は誰一人青学には来なかったので、海堂が家事全般を得意としていることなど、誰も知らなかったのである。
そうしているうちに1学期が終わるころには、テニス部の部員というのも相まって、クラスどころか学園中に家事全般が得意だということが知れ渡っていた。

そして、そのギャップに女子が萌えないわけがない。

眼つきは鋭いが、家事全般が得意で、そこに真面目で礼儀正しさがプラスされて。
どの学年にも隠れ海堂ファンが多いのは、このギャップにやられるからなのだ。
しかし、本人にはそんな自覚などなく、一つ年上の乾との恋愛に四苦八苦していた。


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