短編
□In due persone
1ページ/3ページ
ベルナルドから、今日はジュリオと一緒に仕事に向かってほしいと言われた。
ジュリオ・ディ・ボンドーネ
幹部第四位で、《狂犬ジュリオ》やら《マッドドッグ》やら言われている人物。
私は、何回か会ったことがあるが仕事に一緒に行くのは今回が初めてだ。普段の感じからは、通り名の様な雰囲気は微塵も感じられないので、この目でその仕事振りを見ることが出来るのは、良いんだか悪いんだか…
とにかくそういう訳で私は本部のロビーでジュリオを待つ。
ーーー
「お待たせ、しました…」
「ん、そんなに待ってないから大丈夫さ。というより、ジュリオ待たせる方が良くないから。立ち場上な。」
「いえ、そんな…」
「まあまあ、とりあえず行こう」
「はい…」
一応一部の人間が私の性別を知ってはいるが、外では男装をしている為、一人称を「俺」にして話しているので、ご了承願いたい。
ジュリオも来たところで、私はジュリオの部下が待つ車に二人で乗り込んだ。
「一緒に仕事をするのは初めてだよなー」
「そう、ですね…」
本当に。私が知っているジュリオは、甘いものを食べて嬉しそうにしている様子や、何故か立場が下の私に対しても丁寧な口調で話す穏やかな様子くらいだ。
通り名が付くほどだから、かなりの実力の持ち主というのは容易に想像ができる。
ーーー
「あ゛あ゛ァァ゛…!!」
「うぐァ゛ッッ…!!」
15分くらいだろうか、それ位経つ頃には私も担当していた敵は皆片付け終えた。
ジュリオの様子を伺うべく、そちらに向かおうとする。
「ドン・ボンドーネは?」
「…まだ、中に…」
「?何だ?」
ジュリオの部下にふと尋ねると、目を若干そらしながら答えた。
その様子に、思わず聞き返すとその部下は再び顔を上げて言った。
「お願いします。ドン・ボンドーネを…若様を救っては貰えないでしょうか…?」
「…救う?」
「はい、貴方様なら…若様を連れ戻すことができると思います…どうか、お願いします…!」
その時はよく分からなかったが、あまりの必死さにとりあえず頷いた。
「とにかく、ジュリオの所行ってくるよ。中にいるんだろ?」
「はい…お願い、します…」
そうしてジュリオの元へ向かった。