みんな大好きお兄ちゃん

□かたつむり
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パフォーマンス的に会長が親衛隊との和解に成功したから、総隊長であるミナの役目もようやく終わった。

これから梅雨入りだ。





ジメジメとした蒸し暑い日が何日も続き、空調設備の充実している筈の学園内でも湿度が高くなってきていた。

別の原因で。


「薄汚い【自主規制】が俺の視界に入んじゃねぇ。
【自主規制】は【自主規制】らしく【自主規制】にでも閉じ籠ってろテメェ暑苦しぃんだよ」

「う、ウオーッ!」


ガチムチが泣き叫びながら走り去っていった。


一方、別の場所では…


「おい、」

「すみませんごめんなさい許して下さいごめんなさいー!」


不良が鼻から出血しながら、あらぬ場所を押さえてトイレの在る方向に走り去っていった。

風紀委員長に関しては「おい」としか言っていないから、セリフだけ聞いても誰か分からなくて困る。


庶務は湿気にイライラしていて、風紀委員長はいつもの1.5倍から3倍くらい(当社比)のフェロモンを常時放出している。


主にこの2人のせいで学園の湿度が高いんだろうな。

廊下にやっていた視線を教室内に戻してみればクラスメイト達も廊下から視線を外したところで、それぞれが今見た事を無かった事にしていた。


「にぃ、早く開けてくれー」


トモが腐った目でこちらを見て催促しているが、少し考える時間が欲しい。

今、俺の机の上には一通の未開封の封筒が有る。

封筒の表には仙道孝助殿と書かれていて、裏には残念な事に理事長印が捺印(なついん)されているんだ。
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