みんな大好きお兄ちゃん
□茶番劇
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「腐腐腐ー」
新歓も無事に終わり、日常が戻ってきた…のか?
「欠席は、居ないな」
「先生、若林君が来てません」
クラス委員長が挙手をしながら訴えた。
「若林の事は良いんだ。
人は人、自分は自分だ」
「先生、意味が分かりません」
クラス委員長が挙手をしながら訴えた(2回目)。
「という訳で、今から転校生を紹介する」
「…は?」
クラス委員長が挙手をやめて、嫌悪感の漂う雰囲気で聞いてねぇよと訴えた。
「転校生、入ってこい」
2ーAの担任である穂高先生は、そう言うなり俺の席と窓際の間に素早く歩いてきてしゃがみ込んだ。
「あー、穂高先生?」
「静かにしろ、俺はいま空気だ」
トモは席に着いてるし隆明さんは出張中だから、現時点で盾を必要とする理由が分からない。
疑問に思いつつもそっとしておこうと前に向き直ると、ちょうど転校生が…
「…」
穂高先生に呼ばれて教室に入ってきた転校生の容姿は低めの身長で、もっさりした黒髪に大きな…星眼鏡?
確かに縁は黒いが何故星型をチョイスしたんだ。
俺が密かに生暖かい目で見守っていたその転校生は教壇まで来ると、一度深呼吸をした。
「俺の名前は大道寺蓮!レンって呼んでくれ!よろしくな!」
俺としては[良く出来ました]と言いたいくらいの挨拶なんだが、クラスメイトの反応はどうだろうか。
「これは伝説の…」
「そうだ。7個目だ」
「7個目が来た…だと?」
「始まるぞ」
「そんな…!」
皆がザワザワしている。
この状況が気になって隣を見てみると、期待した反応では無かったらしくトモも首を傾げていた。