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暫くグレイ達と共に走っていると、目的の人物を見つけた。


「いた!!」


『あれが・・・六魔将軍のボス、ブレイン?』


「そういえばリュウは初めて見るんだっけ?」


『六魔将軍自体私顔知らないしね。さっき見たリチャード?とミッドナイトだっけ?二人しか知らない。』


「お前って一人行動多いくせに敵と当たらねぇよな。」


『運がいいのかな?』


「そう言う問題かしら・・?って・・あれ?ブレインが引きづってるのってっ!!」


「ナツ!!?」


驚くルーシィとグレイ。


「これ・・・乗り物だから・・・」


少し離れた位置でハッピーが倒れていた。


「ネコ殿も無事か。」


ジュラの言葉にグレイが、ネコ殿!?と聞き返している。


「みんなぁ・・・ナツを助けて・・・連れて行かれちゃう・・・」


涙声のハッピー。そしてブレインがこちらを無表情で見つめたまま言葉を発した。


「六魔も半数を失い、地に落ちた。これより新たな六魔を作る為、この男を頂く。」


「いつかくるとは思っていたが、本当に闇ギルドからスカウトされっとはな・・・。」


『グレイ・・・人の事言えないんじゃない?;』


「ナツはあんた達の思い通りにならないんだからね!!」


ルーシィが叫ぶもブレインはバカにしたように笑う。


「ニルヴァーナがこやつの心を闇に染め、ワシの手足になるのだ。」


「なるか!!」


ガブッといきなりナツがブレインの腕に噛みつくも、すぐに振り落されてしまう。


「こやつ、まだ動けるのか!!」


「ぐほっ・・・う・・・うぼっ・・・うぽぽぽ・・・」


叩き落とされた衝撃以上に、ナツは酔いが酷いようだった。


「具合がわるそうだな。」


ジュラはナツの体質を知らない為、首を傾げた。


「あいつは乗り物に極端に弱ぇんだ。」


「早く・・・こいつ・・・倒して・・コレ・・止めてくれ・・・うぷっ・・・」


「お前の為じゃないけど、止めてやんよ。」


「うん!!」


「止める・・・?このニルヴァーナを?できるものか、この都市は間もなく第一目的地、化猫の宿に到着する。」


ブレインの言葉に全員が目を見開き驚いた。


「目的を言え、なぜそこのギルドを狙う?」


ジュラが問う。


『化猫の・・宿?ウェンディ達のギルド・・・?・・っ・・』



突如頭に響く声に驚き、耳を抑えて顔を顰めるリュウ。


「おいっ・・どうした?」


グレイが心配そうに覗き込む。


『声が・・・聞こえるっ・・・』


「声?」


「そういえばさっきもそんな事言ってたわね。」



『・・・悲しみや、憎しみ、そして救いを求める声・・・これは、ニルビット族の人たちの・・残留思念・・・』



「・・ほう?声が聞こえると?これはまた珍しい奴が居たものだ。だったらお前にも分かるだろう?光のギルドを闇に染めるこの魔法の素晴らしさが!!この世はまさに地獄となる!!」


「エグイな、コノヤロウ。」


「こいつ許せないっ!!」


グレイとルーシィはブレインを睨む。


『・・・・・・・』


「聞こえなかったか?目的を言え。」


リュウはブレインへと怒りをぶつけようとしたが、すでに怒りが爆発寸前のジュラに気が付き、口を噤んだ。


ジュラの怒りの声、空気に傍で立っていたグレイは、ゾゾッと背筋を強張らせた。


「うぬの様な雑魚に語る言葉はない!!我は光と闇の審判なり!!ひれふせ!!」


「困った男だ。まともに会話もできんとはな・・・。」


「消え失せろっ・・ウジ共がっ!!」


『ご愁傷様。』


「え?」


ブレインの言葉にリュウが呆れた様にため息を吐いて言えば、ルーシィは首を傾げた。


そして次の瞬間、大量の岩がブレインへと襲い掛かり、ブレインは壁へと叩きつけられた。


その事に、ナツ、グレイ、ルーシィは驚きに目を見開いた。


「なんだ・・・・この魔力は・・・・」


どこか怯えが入った表情のブレインにリュウはフッと笑った。



『やっと気が付いたの?六魔のボスともあろう人が、相手の魔力の高さも分からずに雑魚扱いするあんたの方が雑魚なんじゃない?』



「もっ・・もしかしてこのオッサン・・・」



「めちゃめちゃつぇーー!!」


グレイとナツが、ドキドキワクワクさせながら驚きに声を上げた。


「ってか、リュウは知ってたの!?」


『いや・・・知ってたって・・・聖天魔道の一人なんだし・・この位は・・・予想しようよ・・・;』


三人の驚き様にリュウはただ一人、苦笑いした。



「なるほど・・・少々驚いたが聖天の名は伊達じゃないという事か・・・」


「化猫の宿より、近いギルドはいくらでもある。わざわざそこを狙うからには特別な理由があるのだろう?」


ゆっくりとブレインへと近寄り、問い詰めるジュラ。しかしブレインはまだ尚、口を割る気が無いようだ。


「これから死にゆくものには関係のない話しだ!常闇回旋曲!!」


かれが杖を翳した瞬間、怨霊のようなものが沢山、ジュラへと襲い掛かるが、ジュラはそれをいとも簡単に防いでしまった。


それでも尚、その攻撃は追尾型の様でジュラへと襲い掛かるも、ジュラの岩も曲がり、その攻撃さえも曲げてしまう。


「!!」


口をあんぐり開けて驚くグレイにルーシィ。


そしてジュラがブレインへと手を向ければ、岩がブレインを閉じ込めるように彼へと覆いかぶさった。


「岩で・・・閉じ込めちゃった。」


「覇王岩砕!!!!」


そのジュラの言葉と共に、ブレインを覆っていた岩は一斉に彼へと攻撃をし、ブレインを倒してしまった。




「こりゃぁ・・・」


『リオンが新しい目標とした人なんだね。』


「あいつが‘さん‘付で呼ぶわけだ。やりやがった!こいつ六魔のボスだろ?」


グレイがニィッと笑って言った。



「あたし達勝っちゃった!!」



喜ぶグレイにルーシィ。


「さぁ、言え、ウェンディ殿のギルドを狙う理由はなんだ?」


ジュラは倒れたブレインへと問い続けた。


「ねぇ、これを止めたらいいんじゃないの?」


「俺の為にも・・・ぜひ・・・」



リュウはゆっくりとジュラの元へと足を進めるとブレインは何かブツブツと言っていた。


「まさか・・俺が倒されるとは・・・ミッドナイトよ・・あとは頼む・・・六魔は決して倒れてはならん・・・六つの祈りが消えるとき・・・あのお方が・・・」


『・・・あのお方・・・?・・・模様が消えた・・・?』



「・・・そういえばブレインの顔の入れ墨はこんなに少なかったか?」


「ちょっと・・・不気味な事言わないでよォ・・・、夢に出そう・・・」



皆で話しているとウェンディとシャルルが向こうから走ってきた。


そして彼女たちも化猫の宿に向かっている事にきづいたそうだったが、ブレインが倒れている事に、安堵した。


そしてウェンディは毒の影響で倒れているハッピーとナツを治癒した。


『・・・とりあえず気になることだらけだけど、まず止めようか。ウェンディがナツ治しても乗り物止めないとあのままだろうし・・・』


「だな。」


「王の間だっけ?」



『いや、ブレインが居たのはココって事は・・・あの柱に囲まれてる場所、ここが王の間なんじゃないかしら?』



「ここがっ!?何一つそれらしいものなんかねーじゃねーか!!?」


「どうやって止めればいいのかしら・・・」


「ぬぅぅ・・・リチャード殿が嘘を吐くとはおもえんのだがな・・・。」


「くそっ!ブレインを倒せば止められると思ってたけど・・・」


「甘かったわね・・・」


リュウ、グレイ、ルーシィ、ジュラが話し合っていればナツを治癒していたウェンディが彼に乗り物酔いに効く魔法をかけたらしく、動いていても、ナツが復活した。


復活した早々騒がしかったが・・・


グレイがとりあえずナツに、止める方法が分からない事を告げた。完全にお手上げ状態の時にシャルルが口を開いた。


「止めるとかどうとかっていう以前の前にもっと不自然な事に誰も気づかない訳!?」


シャルルの言葉に全員がシャルルを見た。


『気づいてるよ。でも、止める方法は絶対にあるはず・・・』


「な・・なに?不自然な事って・・・?」


「操縦席はない、王の間にいたブレインは倒れた、なのになんでこいつが動いてるのかって事よ!!」


「まっ・・まさかっ・・・自動操縦?」


『更に付け加えるとしたら、ニルヴァーナ発射までセット済み・・だろうね。』


グレイの言葉にリュウが続けて言えば、ウェンディはブルブルと身体を震わせ、瞳に涙を溜めた。


「そんなっ・・・私達のっ・・ギルドっ・・・」


そんなウェンディの頭をポンポンとリュウが優しく撫でた。


『だーから、止める方法が必ずあるって。ねぇ?ナツ。』


「あぁ!ウェンディ達のギルドは絶対にやらせねぇ!必ず止めてやる!!」



「ナツさん・・・・」



ナツの言葉にウェンディは涙を拭って、笑顔ではい!と返事をした。



「でも・・止めるって言ってもどうやって止めたらいいか分かんないよ・・・。」


ハッピーが言えばナツはあっけらかんと答えた。


「壊すとか?」


「またそーゆー・・・;」


「こんなデケェもんをどうやってだよ?」


「やはり、ブレインに聞くのが一番早そうだな。」


「でも簡単に教えてくれるかしら?」


ナツの言葉にルーシィとグレイが呆れてツッコみ、ジュラが一番最善そうな策を唱えるが、シャルルは不安そうだった。


「ジェラールだったら、もしかして・・・っ!!?」


言いかけた言葉をウェンディは慌てて口を押えた。


その事でルーシィが首を傾げるが彼女は、いいえ!と首を振った。


そして、心当たりがあるから探してきます!と走って行くウェンディにシャルルは慌てて追いかけた。


「おっ・・おいっ!!」


グレイが制止の声を掛けるが、彼女には聞こえていないようで走り去っていった。


『ウェンディの事は私に任せて。こんなとこに一人にさせる訳に行かないしね。』


「・・・気を付けろよ?」


グレイの言葉にリュウはピタッと足を止め、グレイを振り返った。


『・・・そっちも、気を付けて。さっきのブレインって奴、まだ何か隠してる。油断しないで。』


「あぁ!わかった!!」


グレイとリュウは頷きあって、それぞれが反対の方へと向かい走った。




・・・・・・・・・・・・・
(このまま、グレイ達と居た方がいい気がするけどっ・・・ウェンディを一人にはできないっ・・・)


嫌な予感が止まらなかったーーー

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