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『皆ー!大丈夫ー?』


一足先に辿り着いたジュラが、六魔のボスの攻撃を【岩鉄壁】で防ぎ、全員はなんとか無事の様だ。



「リュウ!お前トイレがなげぇ!!」


『ずっとトイレにいたわけじゃないわっ!!』


ナツの言葉にリュウは苦笑いしながら怒鳴った。


「間一髪だな。」


「ジュラ様っ!!」


「おおっ!」


「すごいや!ジュラさん!」


「ありがとう、助かったよ!」


ジュラが一安心したように呟き、シェリー、グレイ、イヴ、そしてヒビキが順に言葉を発した。


そんなヒビキに庇われていたルーシィが、あんたも何気にありがとうと言っていた。



そしてナツがあいつらがいねぇ!!と騒ぎ出した。


「完全にやられた・・・・」


「あいつら強すぎるよ・・・」


レンとヒビキの言葉に私はグレイを見た。


『六人相手にこれだけの数が全滅?』


「・・・実質四人だ。ボスのあいつは最後の攻撃だけで・・・」


「一人はずっと寝たままだったの・・・。戦いに参加すらしてなかったわ。」


『そう・・・。』



「ジュラさん!無事でよかった!」


リオンがジュラへと近づきながら言えばジュラはリュウを見ながらこう言った。


「いや、実際危ない所だった。リュウ殿が居なかったらワシは早々に戦線離脱していただろう。」


「リュウ・・・・」


ジュラの言葉にリオンはリュウを見た。


『あの場に居てよかったよ。』


「私も彼女に助けられました!彼女の治癒は素晴らしいっ!!」


一夜がクルクルと回りながら香りのする瓶を振りまいていた。


その香りは痛み止めの香りらしく、皆の傷の痛みが徐々に和らいでいったようだ。


「リュウさぁんにっ!全員の治療を任せると彼女にふたんになりますからねぇ。」


一夜の言葉に治癒魔法に驚く皆。


『痛みで動けなかったら治すわ、遠慮しずに言ってね。』


ニコッと笑えばグレイは気まずそうにリュウへと話しかけた。


「けどお前・・・おっさんとあの香りの奴治癒したんだろ?魔力は大丈夫なのかよ?」


『治癒なら問題ないわ。』


「なら・・いいけどよ・・;」


そんな話をしているとナツが動けるようになった早々、走り出そうとしたが、シャルルがナツのマフラーを引っ張った。


「羽・・・・」


「猫が・・・飛んでる・・・」


「驚くのは無理はないわ、これは翼(エーラ)と言って・・・」


「ハッピーと被ってる・・・」


「なんですってぇ!!?まぁいいわ、とにかく、ウェンディとオスネコの事は心配だけど闇雲に突っ込んでも勝てる相手じゃないって分かったでしょう?」



「シャルル殿の言う通りだ。敵は予想以上に強い。」


ジュラの言葉にシャルルはそれに・・・と咥えて、顔でエルザをさした。



そこには腕を抑えて苦しんでるエルザの姿があった。


「エルザ!!」


皆は慌ててエルザに近寄った。


「スマン!ルーシィ、ベルトを借りる!」


スルッとルーシィのベルトを取るエルザ、当然、スカートが落ちるルーシィは、悲鳴を上げて慌てて手で掴んだ。


ベルトを腕に巻き付け、ハンカチを噛むエルザ。



「斬り落とせ!!」


腕を横に真っ直ぐに伸ばすエルザの行動と言葉に全員が驚いた。


『あのさ・・・』


「バカな事言ってんじゃねぇ!!」


グレイが叫ぶもリオンは俺がやろうと、剣を振りかざした。


「やめろっ!リオン!!」


「今この女に死んでもらうわけにはいかん!」


「けどっ・・・・」


ルーシィの言葉にシェリーは甘いと怒鳴る。


『あの・・・』


「よさないか!」


「そんなことしなくても・・・」


「エルザ殿の意志だ。」


ヒビキとイヴも制止しようとするが、ジュラは彼女の意志を尊重すると言う。


そして振り下ろそうとする剣をグレイが慌てて止めようとするも、それより早くに止めた物が居た。


「なっ!?」


リオンの後ろで振り下ろす前の剣を掴んでいるのは呆れ顔のリュウだった。


『決断が早過ぎ、んでもって人の話を聞きなさい。突っ走るのもいいけど、時には耳をちゃんと傾けないと、取り返しがつかない時だってあるよ。』


「リュウ・・・」


「妖精の尻尾は本当に甘ちゃんだな、この女の命より腕を優先させるのか?」


「他にも方法があるかもしれねぇだろ?短絡的に考えるなよ。」


リオンとグレイがにらみ合い、言えばエルザが限界だったのかドサッと倒れた。


するとまた辺りがざわつく。


「エルザ!!」


「マズイよ・・このままじゃぁ体中に毒がっ・・・」


「ウェンディなら助けられるわ。」


切羽詰まった状況にシャルルがそう言えば、皆は口々に、失われた魔法を!?や、凄い!などの言葉を発した。


そしてあの少女が天空の滅竜魔道士という事も分かった。


「じゃぁ!やる事は一つだね!!」


頷きあう皆をリュウは呆れた様にため息を吐いた。


「あんた!なに!?ウェンディを助けるのがそんなにいやなの!?エルザを助ける為にまずはっ・・・」


そのため息が勘に触ったのだろう、シャルルがリュウへと怒鳴り声を上げた。


『助ける事には賛成よ、っていうか、助けるなんて当たり前でしょう?』


「じゃぁ何ため息ついてんのよ!!」


「落ち着けよ、シャルル。でもリュウ、シャルルの言う通りだぜ。」


グレイもリュウへと向けて言えば、周りも呆れた様に言った。


「そうだよ・・・、こんな事言い合ってる場合じゃ・・・」


「助け出すのに、ため息はどうかと思いますわ。」


あちこちで上がる声に、リュウのプルプルと震える拳を見ていたリオンが、お・・おいっ、そろそろやめとけ・・、と制止するが声は一向に収まらなかった。


『風と大地とに眠る精霊たちの怒りの力 今こそ力を雷と化し 天と大地を一つに繋ぎ 風より 〜〜』


小さな声で詠唱を唱え始めたリュウに、グレイも慌てて皆を止めた。



「リュウっ・・お・・お前も・・落ち着け・・・?」


真っ青な顔をするグレイに、皆が首を傾げた。



『【地霊咆雷陣(アーク・ブラス)】!!』


もう遅いと言うようにリュウは地に手を着け、魔法を発動した。


すると地を通り、足元から雷のような電流が皆を包んだ。空を飛んでいたシャルルにもその被害は及んだが、エルザだけにはしっかりと行かない様になっていた。



「「「「「「ぎゃぁぁぁぁああ!!!!」」」」


その雷撃が終わる頃、皆はプスプスと煙を立てて地に伏せていた。


「なっ・・・なにすんのよっ!!!」


シャルルが真っ先に怒鳴り声を上げた。


『何度も何度も何度も何度もっ!!!!』


大声を出すリュウに、皆ビクッと後ずさった。



『私が言いかけた言葉を過ったあげく、私が悪いみたいな言葉いってくれちゃってさ・・・』



「おっ・・落ち着け・・・」


『落ち着いてたわ!!!あんた達が一向に私の話を聞かないからでしょうがっ!!!』



大声で怒鳴るリュウに、皆は素直に、ごめんなさいと謝った。


「でっ・・でもっ・・もとはと言えばあんたがっ・・・ため息なんか吐くからっ・・・」


シャルルも多少ビビりながらも威嚇するように声を荒げた。


『それは話を聞かずにサクサク進めるあんた達に吐いたため息!!ウェンディを助けるのが不満ででたんじゃないわよっ!!』


「じゃっ・・じゃぁ・・なんなのよっ・・・」



「な・・なんかリュウって・・気性荒くなった・・?」


ルーシィが顔を蒼ざめさせて言えばナツも隣で大きく頷いた。


「いや・・あいつの元々の性格があれなんじゃねーか?・・ほら・・猫被ってたって言ってたろ・・・?」


グレイの言葉に、ルーシィもナツも思い出したようだった。


『聞こえてるわよ、あんた達・・・。』



「「「ひぃっ!!!」」」


『話を聞かなくても大体の事は流せるわよ!でもね、エルザの命がかかってんの!!私の言葉をちゃんと聞きなさいっ!!』



「「「「「はいぃっ!!!!」」」」


全員が、ジュラまでも背筋をピンッとさせて返事を返した。


『はぁ・・・、じゃぁ進むわよ?エルザの解毒なら私に任せて。』



「「「「「・・・へ?」」」」」



『だから、私も解毒できるから、リオンを止めたの!腕を斬り落とさなくても、解毒すればいいんだから、なのに・・どいつもこいつも話を聞こうともしないでっ・・・』



「あ・・あんた・・解毒ができるの・・・?ウェンディと同じ・・・・?」



『ウェンディと同じではないけどできるから、とりあえず、エルザは私に任せて、あなた達はウェンディの救出と六魔討伐に集中!分かった!?』



「「「「「はいっ!!!」」」」


『それからっ!解毒魔法は得意分野ではないから、ウェンディを救出したら必ずここに連れてくること!分かったら早く行く!!!』



リュウの言葉に全員が頷き、一斉に走り出した。



その場に残ったのはエルザを抜かして、リュウとルーシィとヒビキだった。


『聖なる癒しのその御手よ 母なる大地のその息吹 優しき浄化の力もて 穢れの祓いをかのものへ 【麗和浄 (ディクリアリィ)】』



リュウが詠唱して魔法を発動させれば淡い光がエルザを包んだ。


ひたすらに手を翳し続けるリュウ。


その横ではルーシィとヒビキが何かを話していた。


「キミは行かなくて良かったのかい?」


「エルザをこのままにしとけないし、リュウだって治療で手が離せないから何かあったら困るでしょう?それに私が一番戦力外だし・・・」


「またまた謙遜を・・・噂は聞いてるよ、3mのゴリラを倒したとか、ファントムのマスターを再起不能にしたとかアカリファで一人で千人を相手にしたとか・・・」



「尾ヒレつけすぎ・・・そういうあんたは行かなくていいの?」


「女性だけを置いてはいけないよ。」


「優しいのね。」


「それに、僕の魔法なら皆にここの位置を知らせる事が出来る、ウェンディたちを救出しても、辿り着けなかったらいみないからね・・・それにしても・・・」


そう言ってヒビキはリュウを見た。


『?』


「治癒魔法といい、解毒といい、先ほどの魔法といい、キミは凄いね。」


『攻撃魔法の方が得意ではあるんだけどねー、この解毒は特に私の専門外の魔法だから、魔力を結構喰うのよ。』


「だから、ウェンディを連れて着てって・・」


『そそ、多分完治するまでに時間かかるし、その分魔力は減ってく一方だからね、完治まで解毒使ったら私きっと、治癒も出来なくなりそうで・・・』


「そうなんだ・・・。治癒も結構魔力の減りが激しいの?」


『いや、あっちだけならそんなには・・・でも、元々私は黒魔法専門だからね、白魔法は慣れてないから使えても黒魔法の倍は魔力を喰っちゃうのよ。』


「解毒は慣れてない魔法だから消費も激しいってことか・・・」


「黒魔法?キミは闇の魔法を使うのかい?」


『あー・・まぁ、でもそれを悪用したりしないから心配しないで。』


「キミの事を見ればそれは分かってるよ。ただ・・・」


『ただ?』


「さっきの魔法は結構堪えたな・・・;」


「・・・確かに・・・今から戦い控えてんのに魔法を仲間にぶっ放すかしら・・、普通。」



冷や汗を垂らす二人にリュウはため息を吐いた。



『あら?あれは話を聞かなかったあなた達が悪いでしょう?私大分我慢したわよ?それに・・・』



「それに?」


『魔力も1/10位まで落としてあげたんだからいいでしょう?』



リュウの言葉にルーシィとヒビキは驚きに目を見開いた。


「1/10!!?あれだけ大きな魔法で!?」


「あの威力で・・・」



『これから戦いが始まるのに魔力を盛大に使うわけないでしょう?あんなの雀の涙ほどの魔力しか使わなかったから大分威力も落ちてるはずよ。』



リュウの言葉に二人はただただ唖然とするしかなかった。



・・・・・・・・・・・・・
(わ・・私、絶対リュウだけは怒らせない様にしよう・・・・)

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