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『たっだいまー・・・・って何?』


リュウがクエストから帰ってきて、ギルドを開ければ一斉に見られた。



「時間がない、行くぞ。」


エルザが走り出し、その後をナツが楽しそうに着いて行く。


「ほら、お前も来るんだよ!」


ポカンとその様子を見ていたら走り出したグレイに腕を持たれて無理やり走らされた。


『え?・・・え?』


「リュウ〜・・・頑張ろうね〜・・・」


頑張ろうと言いながらも涙目でやる気がなさそうなルーシィが横に並び走っている。



「「「「リュウ、ご愁傷様ー・・・・」」」」



訳が分からずギルドを振り向けばほぼ全員に手を振られながら憐れんだ声が聞こえてきた。


『・・・・・・;話が見えないんだけども・・・』



「移動しながら話す。」


『うん・・・なんか嫌な予感しかしないわ;』


そんな会話をグレイと交わすも、今走っているときには話す気が無いのが分かり、リュウはとりあえずついて行く事にした。



馬車に乗り込めばとりあえず皆、一息ついた。(ナツだけは気持ち悪そうだけど・・・)



「なんでこの作戦に私が参加することになったのォ!?」



「俺だってめんどくせーんだ。ブーブーいうな。」


ルーシィが頭を抱えて言えば、グレイはムスッとした表情で答えた。


「マスターの人選だ。私達はその期待に応えるべきじゃないのか?」


エルザが言えば、ルーシィはガジルやジュビア、ラクサスだっているじゃない!!と答えた。


『ラクサスならもう次のクエスト行っちゃったしねー。』



「あ?お前ラクサスとクエスト一緒に行ってたんじゃねーのかよ?」


リュウの言葉にグレイは不機嫌そうに言った。


『ラクサスと雷神衆ね。』



「そういえば、リュウってばどんなクエストだったの?」


ルーシィがハッと思い出したように聞いた。



そう、リュウが先ほどギルドに帰ってきたのはラクサスと雷神衆にクエストを一緒に行ってくれと言われて行ってきた帰りなのだ。


『あー・・・ナツとグレイの二人を連れてくのが嫌だとかなんだとか言ってた奴ね・・、あれただ単に炎と氷の魔法が必要だったみたい。』


「そうか、お前の魔法なら両方出せるという事だな?」


エルザが言えばルーシィは納得したように手を打った。


『ナツとグレイ連れてくのもありだけど面倒見るのが嫌だったんだろーね。』


「どういう意味だよ!!?」


『喧嘩されたらクエストどころじゃないしね。それに・・・』


「それに・・・?」


『その間に皆に誘われたウェイトレスの仕事は私はちょっと・・・;』


ラクサス達とクエストに行かない場合は、元評議員のヤジマさんと言う人がオープンした店のお手伝いに行く事になっていたのだ。


「・・・お前、ただそれが嫌でラクサス達とのクエスト、二つ返事で了承したのか?」


グレイが問えばリュウはあっけらかんと答えた。


『そうだよ。』



「じゃ・・ラクサス達とチーム組むわけじゃ・・・」


『チーム組んでんのはグレイとだけだよ?』


コテンと首を傾げながら言えばグレイは何処か顔を紅く染めながら、そ、そうか・・。と安心したようにホッとため息を吐いた。


「はっはーん?」


ルーシィがニヤリと笑えばグレイは引き攣ったように、なんだよ?と答えた。


「あんた、妙に機嫌が悪いと思ったら・・・ラクサス達に取られそうで怖かったわけね?」


「なっ・・////違うっ!////機嫌悪くなんてなかったろーが!!」


怒鳴るグレイにルーシィとエルザは笑った。


「そんなことより・・・」


「そんな事ってなんだよっ!!?」


エルザの言葉にすかさずグレイがツッコむも、見事にスルーされた。


「もう喉の調子はいいのか?」


『あぁ、うん、もう全然完治したよ。痛くもないしね。それなのにさ、ラクサスも雷神衆もその炎と氷の魔法以外はいいから下がってろって言うのよ?で、クエストに私ほとんど役立ってないから分け前はいらないって言ったのに、きっちり一人分くれるもんだから困っちゃったよ;』


「フッ、奴らも奴らなりに心配なんだろう。」


『やっぱり妖精の尻尾の魔道士はなんだかんだイザコザがあっても、優しいんだよねー。』



ふふっと優しく微笑むリュウに、エルザもルーシィも微笑んだ。


「そうだな。」



「・・・・・・・」



その様子をグレイだけは面白くなさそうに見ていた。


『グレイ?』



「・・・なんでもねーよ。」


どこか素っ気ない言葉にリュウは苦笑いしていると、キキッと馬車が止まった。



「着いたか。」


そう言ってエルザが下りれば、ルーシィとナツもおり始めた。


『あ・・・』


「あー?」


降りようとしていたグレイがリュウの声に反応して、振り向けば困った様に笑っている彼女の姿にグレイは首を傾げた。


『結局私、何も知らないんだけど・・・;』


「あ・・・;」


そういえば忘れてた、という表情のグレイ。そしてゆっくりと歩き出しながら簡単に説明をした。


『六魔将軍?・・・それを倒すためにギルドの同盟が組まれたって事?』


「あぁ。」


『闇ギルド・・だっけ?そんなに大きいの?』


「俺らが今回討つことになった六魔以外に、悪魔の心臓と冥府の門っつーギルドの三つが闇ギルド最大勢力なんだ。」


『ほうほう・・。その三つの下・・傘下が鉄の森とか表だって悪さしてるギルドって事ね?』


「そう言う事だ。大体わかったか?」


『うん。今回倒すのは六魔で、たった六人しかいないギルド。でもたった六人で最大勢力の闇ギルドを担ってる程強いって事ね。』


「説明が楽で助かるよ。で、だ。今回は一つのギルドで潰せば報復がそのギルドに集中しかねねぇーって事で、4つのギルドが同盟を組んで討つことになったって訳さ。」



『了解。』


グレイとリュウが皆に追いつけば、揃って集合場所の建物へと入った。



「趣味の悪い所ね。」


「青い天馬のマスターボブの別荘だ。」


「・・・あいつか;」



グレイはなにやら思い出して、身体を震わせた。


「・・・まだ着かねぇーのか・・・?」


『もう着いてるよ。』


「あいっ!」


未だ具合の悪そうなナツに苦笑いしているとバッと中心がスポットライトで照らされた。



「妖精の尻尾の皆さん!お待ちしておりました!」


「我ら青い天馬より選出されましたトライメンズ」



そして光が一人ずつを射していく。


「白夜のヒビキ」



「聖夜のイヴ」



「空夜のレン」



「・・・かっこいい・・・」


ルーシィがそう呟いた後、彼女は妖精の尻尾の男性陣を見た。


『グレイ、服。』


「うおっ!?いつの間にっ・・・」


「ナツ・・・大丈夫?」


心配そうなハッピーの声、壁に寄りかかり吐きそうなナツの姿。



「うわぁ・・・こっちはダメだぁ・・・。」


そして彼らはエルザを口説きだした。


「お前もこっち座れよ。つーか、お前かわいすぎだろ・・・」


レンがルーシィの腰を抱き、エルザが座らされた方へと案内していた。


「今回はよろしく頼む、皆で力を合わせて・・」


「かわいい!!」


エルザが隣に座っているイヴに言葉を掛けようとするも途中で過られてしまっていた。


「その表情が素敵だよっ!僕ずっと憧れてたんだぁ・・・」


うっとりとした表情のイヴにエルザはキョトンと固まるしかなかった。


「なんだ・・・こいつ等・・(イラッ)」


グレイの苛立ちを隠さない声にリュウは苦笑いした。


「こんな所にも素敵なハニーがいるじゃないですか。」


『はっ・・・?』


いきなりグレイの隣にいたリュウの前で跪くヒビキにリュウがキョトンとした。


「そのキョトンとした顔も可愛いね!」


ささ、こちらへと腕を引っ張られてエルザの隣へと座らされた。



「お姉さんも凄い美人だね、僕一目ぼれしそうだよ。」



「その・・・オッドアイ、すげー可愛いな。お前の為にあるようなもんだ。」


キラキラさせた表情のイヴに、フイッと顔を背けて紅い顔をするレン。



「さぁ、長旅でお疲れでしょう、今夜は僕たちと一緒に・・・」



「「「フォーエバーv」」」


「「『・・・・・・・・』」」



「キミ達、その辺にしておきたまえ。」


突如階段上から足音と、声が聞こえてそちらへと目を向ける。


「なっ・・何?この甘い声////」


ルーシィが顔を赤らめながら見上げる。


「「「一夜様!」」」


青い天馬の三人が声を揃えて彼の名を呼べば、エルザの身体が徐々に震えだした。


「い・・一夜だと!?」


「久しぶりだね、エルザさん・・・」


「まっ・・まさか・・お前も参加していたのか・・・?」


「会いたかったよ、マイハニー、あなたの為の一夜でぇす(キラッメキッ」


何やらキラキラとしたものを纏いながら現れた小柄な男に、エルザは寒気を走らせていた。


「「「一夜様の彼女でしたか、それは大変失礼を・・・」」」



「全力で否定する!!!」


ビシッと指差し言い切るエルザ。


「片付けろ!遊びに来たんじゃないぞ!!」


「「「へいっ!アニキッ!!」」」


「・・・さっき一夜様って呼んでなかった?」


『別に統一してないんでしょうね・・・;』



「キミたちの事は聞いているよ。エルザさんにルーシィさん、その他・・・。」


一夜の言葉にグレイがグモッと口を開けて驚いた。


「その他ってなんだこらっ!!」


『あはは・・・;』


苦笑いするリュウに気がついた一夜は驚きの表情をして、物凄い勢いでリュウの前に跪き、手を握った。



『ひぃっ・・・』


「いい香り(パルファム)だっ!!このような素敵な香りの女性を私はその他あつかいしてしまったっ・・・許してほしいっ・・・」


『あっ・・・あのっ・・そんなんどうでもいいんで・・手ェ・・離してください・・・』


ビクビクとしながら顔を蒼ざめさせて言うリュウの腰は大分引けていた。


「きっ・・キモイんですけどっ・・・」


ルーシィが言えばその後ろでエルザが冷や汗を垂らして行った。


「すまん、私もこいつは苦手なんだ・・・。凄い魔道士ではあるんだが・・・;」



「青い天馬のクソイケメンども、あまりうちの姫様方にちょっかい出さねーでくれねーか?」


バシッと繋がっていた一夜の手を叩き落として、グレイはグイッとリュウを自分の後ろへと庇うようにして立った。


「帰っていいよ、男は・・・」


一夜の言葉にグレイはピキッと青筋を立てた。それの追い打ちをかけるように、ヒビキ達はグレイへと頭をさげ、お疲れ様っしたー!と言った。


「こんな色モン寄越しやがって、やる気あんのかよっ?」



「試してみるか?」


「僕たちは強いよ?」


『やめなって、グレイ。』


「お前は黙ってろ!」


グレイの服を引っ張り止めるも、一括されてしまい、ため息を吐くリュウ。


更にナツも喧嘩なら混ぜろと、息巻いていた。



・・・・・・・・・・
(あーあ;これじゃぁギルドにいるのと変わんないよ;)
 

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