MaiN

□三日目:夜
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「あ」

「どうした、ルルの嬢ちゃん?」

いつものように全員が集う夕食の席で、ルルは何かを思い出した。

「俺、そろそろ免許更新しなきゃ……」

通常、【鑑器】を所持・使用するための免許更新は、最寄りの役所で簡単に出来る。だが、【資料室】で働く為に必要な免許は特殊なため、皇都まで行かなければ更新できない。

そして【資料室】から皇都に行くには、馬車を使っても少なくとも半日以上はかかる。もちろん翼馬や転送魔法を使えばもっと速いのだろうが、その場合は移動費用が経費で落ちなくなる。

「皇都まで行くのか。土産頼むぜ」

「女の子に一人旅させるわけにいかないし、僕と一緒に行きましょう、姉さん!」

「乗り気のところ悪いですが、明日からシズニィ様は私と共にグウェア地方に出張でございますのでそのおつもりで」

「俺様がついて行けりゃあ良かったんだが、ちょっと注文が立て込んでるからなですよ……」

「なあに、嬢ちゃんだってもう大人だし、皇都くらい一人で行けるだろう?」

「そういえば、今は皇都で春活祭をやってるんじゃないのかな。ついでに行ってみたらどうだい?」

「そうだな、じゃあ早速明日行ってくるよ。ついでに皇都での仕事も俺が済ませようか?」

「そうだね……じゃあ御願いしようかな」

コッツは立ち上がると、二階から依頼書の束を持ってきた。横からウィルを除いた全員が覗きこむ。

「ええと、この書類の提出と、この品物を引き取ってもらって、それから……これは……」

手際よく書類を分類していたコッツの手が、とある一枚で止まった。

「……これは、ゼットさんの手を借りないといけないかも知れないね」
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