MaiN

□二日目:早朝
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「それで、こんな時間に帰って来たんだね。お疲れ様」

結局、ルルとウィルが【資料室】に帰ってきたのは夜が明けてからだった。

宿屋兼酒場を改装して作られた【資料室】の一階は、所員の休憩場所・食堂になっている。

広い食堂の片隅でテーブルに突っ伏すルルは、顔を上げずに頷いた。彼女の隣ではウィルが煙草をふかしている。

疲れはてたルルの前に温かい紅茶を置いたコッツは、ルルの対面に座った。

「今日の業務は小生達で回すから、ルルさんは休んでて良いよ。もう眠いでしょう?」

「……ありがたい。コッツさんは俺の唯一の癒しだ……」

「えー、ルルちゃん、おじさんは?」

「鏡見てから言えよくたびれたおっさん」

「前から気になってたんだけど、何でルルちゃんはおじさんのことはおっさんって呼ぶのに、コッツの事はコッツさんって呼ぶの?コッツの方がおじさんより年上なのにさ」

「仕事しない中年はおっさんで十分だ。……コッツさん、俺、コッツさんの相棒が良かった……」

ルルが身体を起こすと、コッツは困ったように微笑んだ。ルルの横では何故かウィルが笑いをこらえている。

「小生は戦うのは得意ではないからね。こうして事務や雑務や、皆さんの健康管理をするほうが性に合ってるんだ」

「良く言うよ。“華の【資料室】”時代からいるくせに」

「華の【資料室】?」

ルルの疑問に二人のおじさんは頷いた。
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