小説(DW:A)

□寝言
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いつものように、触れ合い、お互いの熱を感じ、昂揚感に浸ったあと。
トニーの腕のなかで、アキラは眠る。
眠ったあと、暫くはアキラの寝顔を見ているのだが、今日だけは少し違った。

アキラの寝言が聞こえたからだ。

「んん……」
「? アキラ? 起きてるのか……?」

頭をそっと撫でてみる。聞こえてくるのは寝息。勘違いかと思い、トニーも目を閉じた時。

「……かあ、さ……」

小さく、か弱い声で聞こえてきたのは、母を求める声。

「アキラ……」

悪夢でも見ているのかと不安になり、彼の顔を覗くと、予想に反してその顔はひどく穏やかだった。
トニーの服をぎゅっと握りしめて、擦り寄ってくる。
母親に抱きしめられる夢でも見ているのだろうか。

「大丈夫だ。お前は俺が守るからな」

「大好き……トニー……」

かすかに聞こえてきた可愛い寝言を微笑ましく思いながら、トニーは小さな戦士を抱きしめた。

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