銀魂 攘夷
□小太郎
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俺は床に寝転び、“おみやげ”とやらを待つことにした。
炊事場からゆきの声がする。一緒に行った高杉の声は聞こえない。どうせ、ふうんとか、ああ、とかそっけない返事をしているのだろう。そりゃ友達少ねーわ。
「夕飯は山菜おこわね。昨日見つけてたのをアク抜きしておいたの。晋助、もち米研いでほしいな。私、お味噌汁と餡子の仕込するから」
「俺が?」
「え手伝いに来てくれたんじゃ無いの」
「ヤクルト飲みに来ただけだ」
「そっかあ」
「まあいい。研ぐのはそれか?」
かちゃかちゃと小気味いい音のお陰でしばらく眠りこけていた。ふと目を覚ますと、外は薄暗い。夕飯までもう少しだな...
もう一眠りしようとしたとき、炊事場の戸が開き、甘い匂いが漂ってきた。
「銀時さん」
「何?」
「よもぎは好き?」
「甘けりゃな」
了解、とゆきは歯を見せた。
“じゃあ晋助次はヨモギをすりこぎで粉にしてね”
こき使われる高杉の姿と暢気なゆきの声に平和ボケしそうだ。
「高杉とゆきはすっかり打ち解けたな」
「そうじゃな。まあ、ワシも負けとらんぞ。デザート半分こして食べた。あーんは流石に断られたアッハッハ」
「いいなー。俺はいつでも小太郎って呼んでもらえるようにスタンバってるのに、まだ名前すら呼んでもらえてないぞ。はっ、もしかして俺怖い?髪切った方がいい?」
「髪切ってもどうにもならんじゃろ。言ってみれば?小太郎って呼んでって」
「言えるわけないだろ〜」
マネージャーの女子と仲良くなりたい野球部員か。
平和ボケになったのはゆきの仕業かと思ったが、どうやらアジトの雰囲気がボケてたのは変わりないらしかった。