銀魂 攘夷
□辰馬
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辰馬とゆきが出かけた後、俺は武器の手入れ、ヅラと高杉は偵察に出かけた。
いつもならダルくて適当に済ますが、どうも頭と身体がスッキリしている。柄にもなく長時間集中して取り組んでいた。
気がつくと陽は真上にあったが、昼になれど2人は帰ってこない。まあ、五月蝿いのがいなくて丁度いいか。
「ただいまー!」
夕方、急にやまかしくなったと思えば2人が帰ってきた。ヅラがお帰りと迎える。
「いやー、遅くなった!ムサイ男と違っておなごと町を歩くんは楽しゅうての、いろいろ連れ回してしもうた!アッハッハ!あっこれお土産じゃ、ぼた餅」
「すまんな。美味そうな小豆と餅米と砂糖...ってコレ原材料ォ!どうすんのコレ」
「これから作るんです」
「そうか、ゆきは和菓子屋の娘だったな。ところで文は出せたか」
「はい、おかげさまで。辰馬、今日はありがとう」
「礼には及ばん。こっちこそ一緒に昼飯食うたり着物見たりして楽しかったき、また何かあったら付き合うてくれ」
ぜひ、とにこにこ笑うゆき。その横でヅラが狼狽えている。
「え、ちょ、辰馬って誰」
「ワシじゃが。知らんがか」
「知っとるわ!ゆきの着物も変わってるし、坂本貴様、何処でナニしてきたんだ!お父さんは...ってデジャヴゥ!」
「うるせーよ。呼び捨てにしただけでいちいちナニしたことにしてんじゃねーよ」
「ほうじゃ別にええじゃろそれぐらい。高杉だけ狡いしの」
お前も朝ガヤ飛ばしてただろうが。それにしても身を案じてついて行ったはずが、あちこち連れ回してどうすんだコノヤロー。
それに気になるのはゆきの服装だ。
買ってきたものを整理しているところに声をかけた。
「その格好、なんで作務衣にしたの。寺だからって尼さんになるつもりか」
「いやあ、へへ...」
「それがゆきがこれがいいちゅうて聞かんのんじゃ。こっちの方が安いし、動きやすいからって。金のことは心配せんでいいっちゅうたんに」
「は、ボンボンは言うことがちげえな」
「ボンボンといやあ、ヅラおまんに買うてきたぞ、最新号」
それを聞いたゆきは袋から雑誌を取り出してヅラに手渡す。渋い顔をして受け取ると自分はコロコロ派だと辰馬に訴えていた。
「...なんか沢山買ってんな」
「はい。作務衣もう1着と履物を。あと食材と日用品をひと通り。あ、晋助、ヤクルト好きだって聞いたから買ってきたよ。冷蔵庫に入れておくね」
「ああ。」
「俺には?」
「これからたくさん作ります」
ゆきは嬉しそうに食材を抱える。
「オイ、夕飯、まさかぼた餅か」
高杉がゆきの手から荷物を奪い、2人は炊事場へ入って行った。
夕飯がぼた餅...上等じゃねーか。