銀魂

□ココロエチガイ
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「ふ、増えちゃった」



朝起きて、作務衣に着替える。その途中、二の腕と腿の布の緩みが減った気がしたのだ。勇気を振り絞ってオン ザ 体重計。

乗るんじゃなかった、いや、やっぱり乗ってよかった。連日の外食のせいなのか、味見(つまみ食い)のしすぎなのか。

憂鬱な気分をかかえ、いつもより大股の速足で屯所へと向かった。


道中、見慣れた銀髪と出会った。ただ見慣れないのは、彼がこんなに早朝に、原付ではなく自転車に乗っていること。




「お、ゆき。おはよーさん」

「銀時、おはよう。早いのね!あー今日カサ持ってないや」

「銀さんな。ったく、失礼なヤツだな。新聞配達の代理の依頼だよ。銀さんは仕事のときぐらい真面目なんですぅ」

「あはは、それはご苦労様です」




屯所までの道と、銀さんの配達ルートは同じなようで、一緒に歩く運びとなった。

銀さんが自転車を押して歩き、私が新聞をポストに投函。あー楽だわーなんて言ってる。どこの誰が仕事に真面目なんだか。




「それにしてもゆきちゃん、今日はダイナミックっつーかワイルドっつーか。どすどす歩いてるな。」

「どすっ...そんなに変?」

「おー。だいぶな。なんかムカつく事でもあったのか?いつでも辞めて銀さんとこ来てもいーんだぞ」

「う、ちょっとでも運動量増やそうと思ってたんだけどなあ...やめよう、うん。」

「いつもクタクタになるまで働いてんのにまだ動き足りねーのかよ。夜の運動が足りねんじゃねーの、夜のお相手の依頼なら俺ウェルカムよ?」

「それなら昨日、沖田さんにコテンパンにされちゃったからいいです...朝だけど」




そうそう、昨日は大変だった。

朝からの運動はこりごり。汗だくになるし、痣だらけになるし。

そういいながら自転車のカゴから新聞を取り、ポストに入れに行く。あと3軒くらいかな。そんな一方で、銀さんは、独りでなにやら大騒ぎしていた。




「朝?!汗?!痣?!やっベーなオイ。若いヤツはちげーな。流石の銀さんでも朝からは、いや、寝起きをいたぶるのも悪くねェ...

ってええええええ!!!!沖田くんと?!」


「そー、余裕かましてガンガン攻めてくるの。息する暇もないくらい。それでも手加減してくれてたのよ。...銀さん?」



急に黙りこくった彼の方を見ると、すごく怖い顔をしていた。目が血走って、右手は自転車を震えるほど堅く握り、左手は鼻を押さえている。



「...餓鬼のクセに手出しやがって」

「鼻血、」

「ニコ中野郎は何やってんだ...」

「その頃は寝てたのかな。えーとティッシュティッシュ、」

「ティッシュとか言ってんじゃねーよコノヤロー!」



血相を変えた銀さんは、ソイツは任せた!と新聞を私に投げ渡し、自転車で屯所のある方へ消えてしまった。


「えええ」



誰が仕事真面目だコノヤロー!
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