銀魂

□知りたるも仏
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「あう、頭痛い...」


テスト前に慌てて徹夜して、脳みそが熱く感じるあの感じ。
食堂の蛍光灯も今日は眩しく見える。


「オハヨーございます、原田さん」


...眩しいのは彼のせいだったようだ。
朝定食のお盆をカウンターから差し出し、いつも眩しい彼へと手渡す。



「ゆきチャンおはよう。眠そーだな。クマがひどいぞ。おっ今日の漬け物は奈良漬か?」

「あら?浅漬けの筈ですよ。いろいろあって寝不足なんですよねー...」


原田さんはカウンターから身を乗り出して、炊事場を覗き込む。


「奈良漬なんてないですよ「酒くさッ!!」

「え」

「奈良漬なのはお前じゃねーか!どんだけ飲んだんだよ」

「ひええ、すっすみませんんん!」


慌てて三角巾を外して口元を覆う。
涙が出そうだ。そんなにくさいだなんて。


「おいおい、原田。女の子にそれはないだ、酒くさ!!」

「あああ山崎さんまでぇ」

「そんなになるまで飲んで、昨日は一体どこで...あ、そうか、万事屋の旦那と出掛けて...旦那と...夜まで...」


顔がくしゃくしゃに歪んでいく山崎さん。何それ、そんなに誘って欲しかったの。


「山崎さん、今度は仲間に入れてあげますから。泣かないで」

「誰が地味で忘れられやすいだコノヤロー!!」

「「誰も言ってねーよ」」


お盆を置いたまんま走り去った山崎さん。原田さんに持って行ってもらうよう促す。


「というか私、昨日確かに飲んだんですけどサワー2杯ですよ」

「マジでか。その割に日本酒の臭いすんぞ」

「おっかしいなー。土方さんと日本酒飲んだのは一昨日ですよ」

「万事屋の前は副長か。勘弁してくれよ、ゆき姉ちゃん。沖田さんの機嫌が悪くてしょうがねえ」

「あはは、今日は沖田さんと多めに絡んどきます」


そう話しながら、作業着の袖口を嗅いでみるが、フローラルの香りしかしない。女子力の高い香り。


「オハヨー、、」

「蓮ちゃんオハヨー、って酒くさ!!」

「奈良漬は蓮ちゃんだったか、しょーがねーなァそんなに飲んで」

「ちょっと私んときと反応違いませんか」

「ゴメンゆきちゃん、向こうで休んでる...」

「土方さんに言って午前休とりなよ...」


ヤダ、こんなんじゃ会えないっ!って可愛い顔をするもんだから、それを見た原田さんはオレが言っといてやるよ☆とウィンクをかまして行ってしまった。



あ、山崎さんの定食置き去り。

地味で忘れられやすいのは彼のものもおんなじなのね。
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