銀魂

□蜂蜜入り
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ほうれん草、豆もやし、牛肉、胡麻油、タマゴにマヨネーズ...そうそう、蓮ちゃんに頼まれてたナノックスお徳用...

大所帯の買出しは、すぐにカートが満杯になる。


「どんだけ買うんだよオイ。しかもこのマヨネーズ?1ダースっててめぇで買いに来いっつんだよ腹立つ」

「まあまあ、ついでだもん。今日の夕飯のぶんが足りないって、食堂仕切ってるおばちゃんから連絡来てて。」

「なんでわざわざ非番のゆきのトコに連絡くるわけ、銀さんとデート中だってのにわざとやってんのか?あん?」

「デートって...銀さんが付いて来たんでしょー」

「こんなセクシーチャイナ娘を1人で歩かせられるかっつーの」

「セク...いやね、私だって休みたいのだけどね、今日おばちゃんとペアでやってる可愛こちゃん、洗濯はプロなんだけど料理がてんでアレで。おつかいも不安なんですって。」

「...可愛こちゃん」

「そう、ふわっとして...あ、食材の買い出しの雰囲気知って欲しいから、ここに呼んでるの。そろそろ来るはず…」

「来んの?!可愛こちゃん来んの?!俺のふわっと頭も気に入ってくれっかな?!」

「ふわっと頭ねえ...」


髪の毛の質のことだろうか、それとも中身のことだろうか。
なーんちゃって。おっと、出汁用いりこ買わなきゃ。


『ゆきちゃーん!』


鈴が鳴るような可愛らしい声が聞こえて来た。ふわふわのロングヘアー、桃色の小袖。

手を振りながらこちらに駆けてくる。


「蓮ちゃ「初めましてェ、お嬢さん」

「あっ、どうも初めまして」

「ちょっと今からおにーさんと一発どう?」

「えっ、ここじゃちょっと...」

「じゃねーだろ!アホですかあんたら!蓮ちゃんも場所の問題じゃないでしょーが」

「ん、悪くないかなって。ゆきちゃん、買出しありがとうね、ナノックスお徳用...あっ、これひとつ前のシリーズよ、ちょっとゴメンね...」


そういって、買い物カゴからナノックスお徳用旧シリーズをとって洗剤コーナーへ行ってしまった。ちょっと安かったし、前使ってたからいいと思ったんだけどな。


「何あの子。どういう訳だよ。めちゃくちゃ可愛いじゃねーか。しかも悪くねぇって?お前いつもあんな可愛こちゃんと仕事してんの。くっそ羨ましいなぁ、オイ」

「女の子らしいですよねぇ、私も1回でいいからあんな感じになってみたい」

「...なってみる?」

「え」

「夜お前んち迎えに行くから出かけんじゃねーぞ」

「あ、屯所にいますね」

「お前なあ...」

「こーいうの社畜ってんですよね、あはは」


じゃあ18時に門の前で、と約束をしたタイミングで、蓮ちゃんが新ナノックスを持って戻って来た。


「おまたせー!あれ、ゆきちゃん、なんでチャイナ服?かわいー私も着たいな」

「今?というか着たいの?」

「蓮チャンよ、俺的にはもっとこう脚のとこのスリットがだな...」

「さて、レジ行こかな」


“ジョーダンだってゆきちゃん!そんなゴミ見るような目で見るな銀さん傷つく”

「1万3884円になりまあす」

“ってアレ?目も合わせてくんないの?気にも留めない塵ゴミってか、塵は目に入ったら痛いんだぞ入ってやろうかこのヤロー”

「あ、すみません、レジ袋3枚お願いします」

「1枚5円になりますがよろしいですか」

「はい、お願いします」


“あっ、目に塵入っちゃった、涙で前が見えないや”

“よ〜しよし”

“蓮ちゃんん!”



商品を袋に詰め終わって、さてと、運んでもらわないと、と2人を見遣れば。


「いない。」


あたりを見渡せば、2人ぴったりくっついて自動ドアの向こう側。


初対面の2人のはずが、
荷物を持ってもらうはずが。

どこ行っちゃうの!

正午、唖然。
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