ナルト

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「店は営業してたか」



あの夜から2週間過ぎた頃。どうしているかと覗きに行くも定休日。家の方へ訪ねるのは、自制心がなくなりそうだからやめた。

後日、店に足を運ぶも、朝定食にも昼定食にもほうれん草のお浸し。

夜に行くかと出直せば、任務終わりの打ち上げだろうか、ガイたちの、いや、ガイの笑い声に行く気も失せて翌日に持ち越した。

そしたらまたほうれん草の胡麻和え。翌々日も、その次も。おかか和え、白和とあの手この手でほうれん草を出している。

なんだよ、俺に来るなってことか。

だからたまに通うというアオバに尋ねたというわけだ。



「ああ、いつもと変わらず。今日はとろろがけが美味かったよ」

「ソレほうれん草にかかってたか?」

「ああ。鉄分の補給にいいってさ。そうだ。ゲンマは元気かと気にしてたよ。みんな、と言ってたけど、どうせお前のことだろ?」



あ、お前貧血なのか?と心配される。
心配無用だよ。この通りだ。



「ほうれん草苦手なんだよ、毎日出して、魔除けかと思うわ」

「はは、…はっ….”魔”って、もしやついに魔が差したんじゃ」

「いや…」

「そうだとしたら店に通ってないことの辻褄が合うというか…」

「うるせーな、見ろ、この書類の量」

「はあ、しゃべってたら今日も片付かないか。さっさとやっちまおう」




そうしてまた忙しい日々が過ぎ、ついにひと月が経ったころ。



「ち、なんか意地になるな…」



朝、店の前を通りかかれば、”ほうれん草”は”かぼちゃ”に変わっていた。ちなみに焼き漬け。

翌日は南瓜のサラダ。その夜はかぼちゃ饅頭の餡掛け。

さらにその翌晩は、かぼちゃの煮物だった。



「お」



献立の看板前に立ち止まると、店の中からナルトがでてきた。振り返って店主に物申している。



「ねーちゃんさあ、俺もうかぼちゃ飽きたってばよ。こないだはほうれん草ばっかだしさー」

「ごめんね、だけどもう少し….」



ナルトを見送りに来たゆきと目が合う。



「ふふ、カボチャは今日でおしまい」

「ふうん?まあまたくるってばよ」



おやすみ、と言ってナルトは店を後にした。
ゆきがこちらへ向き笑顔を見せる。



「ゲンマ、いらっしゃい」



どうしてたんだ、心配していた、何を伝えようか。
その前に一言言わせてもらうぞ。



「いい加減、俺の好物覚えろよな」



かぼちゃは煮物に限るんだよ



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