ナルト

□52
1ページ/1ページ

「…ずっと開けてりゃ閉めることもあるか」


あの日から2週間程経った頃。なんとか顔が出せそうだと覗きに行くも、店先に休店の貼り紙があった。

定休日以外の休みを見たのは初めてだな。
自宅の方にも気配は…ない。



「しばらくって何だよ」



温泉でも行ってんのか…ならまだましだ。

旅行なら再開日ぐらい書くよな。
貼り紙は雨でところどころ染みがある。
軒下に降り込むほどの雨が降ったのは、先週の半ばだった。


足を運ぶはあんの門。



「おい、イズモ、コテツ」

「ゲンマさん。慌ててどうしたんですか」

「ゆきはいつ通った」

「ゆきちゃん?通ってないよな」

「ああ。記録にもないですよ」

「そういえば店が閉まってますよね、ゲンマさん何かご存知で」

「知らねえ」



知らねえから聞いてんだ。
ここにいないってことは里の中にいるのか?
…あと店に通ってる奴といえば、癪だがー



「たっだいまー!」

「あー長い任務だったわね」

「サクラちゃんラーメン食べに行こー」

「い、や!」

「そんなァ。んじゃサイ…ってあれサイももう帰ったのかよー」

「ナルト」



…は癪でも何でもないんだが。
ゆきねーちゃんとやらの所在を訊ねる。



「知らねーってばよ。俺ら任務帰りだし。店も閉めてるしさあ、あ、今日はあいてっかな」

「開いてりゃいいんだがな…」

「その様子じゃまだ休店なんでしょう」



ナルトの後方から、そう、俺はアンタを探してたんだ。けれど有力な情報は持ってなさそうだった。



「僕らが里外に出るときはもう店は閉まってましたよ。その時は家の方にもいなかった」

「ねーちゃん旅行にでも行ってんのかな」

「そういえば温泉行きたがってたみたいよ、シズネ先輩が言ってたんだけど、美肌の湯があるんだって盛り上がったって」

「やっぱシズネのねーちゃん若づくりぃ」

「ナルトあんた殺されるわよ」



あひぃーとナルトが笑った。

お前はなんでそんなことも知らねえでいるんだよ。なんで呑気にしてられるんだ。

ナルトの横で、どこいったかなと首を傾げたアンタのことだよ。自分の女が連絡もなしに店を閉めて行方不明だってのに。



「なあ、ヤマト」


首根っこ掴んで問いただしたいのを抑え、声をかけると怪訝そうな顔を向けられる。



「…いや、ここじゃ難だな。隊長借りるぞ」

「僕はこれから報告がありまして」

「エラく嫌そうだな」

「千本がギラギラしてますよ」

「は、悪いな、間違いじゃねえよ」

「それにゲンマさんが探してたのは僕じゃなくてゆきさんでしょう」

「いや、いいんだお前が」



肩を軽く叩き、待機所で待ってる、と残した。



「…なあ、サクラちゃん、もしかしてゲンマさんって実は隊長が」

「え、マジ?」



後ろから聞こえる声に足が止まる。



「….オイオイ」



それはとんだ間違いだよ



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ