ナルト
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「で?先週のデートはうまくいったの」
待機所で、久しぶりにヤマトと鉢合わせた。話はちょくちょくナルトから聞いていたため、最新のトピックスで切り出す。
いやーそんなデートだなんて先輩たら!とまあデレデレと顔を緩める。暇つぶしにしてはちょっと胸焼けがしそうだな...
「ピクニックといいますかね、本屋に寄って、それから買った本を公園でのんびり読んで、彼女が作ってくれた弁当を食べて」
「彼女ねえ...チューぐらいしたの」
「ち...な訳ないじゃないですか!まだ付き合ってもいないのに。彼女っていうのはただの三人称、自分で言って虚しいですけど」
「ふーん、まだ、ねえ」
じゃあこれから付き合うのか、と浮かれている様子がいよいよ憎たらしくなってきた。
“彼女”の気持ちも俺にまでバレバレなだけに。
そんなことより、とヤマトは話を少し逸らす。
「ゆきさんのおむすび、やっと食べられたんですよ」
「あ、食べちゃったのついに」
「もーカカシ先輩いつか出し惜しみしたでしょう。ホント店名の由来にするだけに、美味しいですね。力が漲るようで」
「ああ、そうだったな...」
なんだ、ヤマトは気が付いていないのか。
その後の任務で張り切りすぎて術をオーバーに発動してしまっただの、アドレナリンなのかそう疲れなかっただの、
あーもう、惚気はもういいから。
「ま、その辺にしとけよ。浮かれてるとこ敵から背後からグサリ。なーんてことも」
「い、嫌なこと言わないでくださいよ」
「じゃあ俺はそろそろ行くかな」
呑気に俺を見送るヤマトを背に、戸を閉めた。
そして今にもグサリとやりたそうな人物に声をかける。
敵は背後じゃなくてここにいるんだけどな、
「ね、ゲンマ」
「なにが、ね、ですか。やっぱり気付いてたか」
「ああ。彼女の能力は...木遁に近いか医療忍術に近いかは判らないが...」
俺は何度か食事をしながら考察をしていた。
手から溢れるチャクラが食材の養分や植物の生命力と呼応してエネルギーを増幅させているのだろう、とゲンマに話す。
「で、直接握るおむすびが顕著だ。どーかな」
彼の口元で、千本が機嫌悪そうにチラつく。俺の見解は概ね合っているということでいいらしい。
ましてヤマトは木遁使い。ゆきのチャクラと相性がいいというのか、任務で思わず力が出たというのも頷ける。ゲンマの機嫌が悪化しそうだから、これは言わないが。
「...木の葉の中でも、この事を広めるわけにはいかない」
「となると、いち早くヤマトに伝えるべきか」
情報がどこから漏れるかわからない。大蛇丸の実験然り、ダンゾウや暁。
チャクラの増幅となれば、良くも悪くも使える力だ。
兄としてか男としてか、ゆきの身を案ずるのも無理はない。
俺が待機所のほうを見やると、ゲンマは、あいつらには俺から言う、とはっきりと言った。
「ま、うまくやれよ」
浮かればかりはいられないぞ、ヤマト。