ナルト
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「たっだいまー!」
「あ」「ん」の門を抜けて、木の葉の里の空気を大きく吸い込む。2週間ぶりの里。
あーやっぱ木の葉はいいな!真っ赤な夕日と、さわさわと木の葉を揺らす風がサイコーに気持ちいい。
そんなのとは裏腹、俺の後方から辛気くさい声が聞こえる。
「んとに、どの口がもう歩けないだよ。ピンピンしてるじゃないか」
「里に着いたら話は別ってばよ、ヤマト隊長。腹も減ったし一楽いこー...いや、隊長はアッチの方か」
「なんだい、にやついて。疲れてるんだ。そりゃこってりしたラーメンより健康的な食事がいいに決まってるだろ」
「そんなこと言っちゃってー。タテマエも大概にした方がいいってばよ。ホントはゆきねーちゃんに会いたいくせにぃ」
そういうとジトッと睨まれる。
「キミねえ...一応僕ァ上司なんだからね」
そう言いつつも否定しない隊長に嬉しくなる。思わず、うりうり、と隊長をつつく。
「ねーちゃんの前では上司も形無しってやつ」
「言うようになったな、このっこのっ」
「ギャー!!!やめてくれってばよ!くすっくすぐったい」
木遁の蔓で全身を擽られる。やめろってば隊長!なんで楽しそーな顔してんだ、アヒヒヒヒ、く、くすぐってェー
悶えていると、門の方からネギを背負ったワンピースの女の人がやってきた。あ、アレは!
「ヒヒッ、おーい!ね、ねーちゃ、ゆきねーちゃん!」
「そんなこと言って気を引こうったって無駄だよ」
「ギャー!ホントだってばよ...ウヒッギャハハ、死ぬ...」
「ふぅん...」
“私じゃヤマトさんの気は引けないか”
「え」
ドサッ
急に木遁が解かれて、俺は地面に落とされた。急に辞めるなんてびっくりするってばよ...
...それより驚いてるのは隊長の方だ。
隊長の左後ろから顔を覗き込み、悪戯っぽい目で、けど唇は不満そーに尖らせている。
久々の想い他人との再会。しかも至近距離で目を合わせ、しかもしかも問題発言を聞かれたもんだから、顔がいつもより真っ赤っか。
「いや、あの、そのですね...」
「ふふ、冗談です!」
「いや、ボクもその言葉のあやというか、その、すみません...」
任務中、テキパキと指示を出していく姿はカッケェーと思ったもんだけど、今はまさに形無し。かっこわりィ〜。
それでもねーちゃんはにこやかで、すごく嬉しい言葉をかけてくれた。
「...おかえりなさい。ヤマトさん、ナルトくん」
「!...た、ただいま」
「ただいま!」
このやり取りが、家族みたいで胸の辺りがあったかくなる。きっと隊長も同じなんだろう、赤い顔は相変わらずだけど、視線が優しかった。
ふと、ねーちゃんも仕入れから帰ってきたのを思い出し、俺からもおかえりと声を掛けた。
「ふふ、ただいま。」
あったかい空気に油断したのか、ぐぅ〜〜と腹の音が鳴る。
「へへ、もう腹の虫が限界みてェーだ」
「それじゃ、ウチでごはんにしましょうか!」
「ぃやったー!」
目の前に3つの人影。夏のそれよりも細く長く、近づいて、道の行先を案内しているようだ。
家族は遠慮は要らないか、なんちゃって。
よし、
全部大盛りで頼むってばよ!