ナルト

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「ふう...!」


17時半。ひと通りの下拵えを済ませて、グラス一杯の水を飲み干す。なんとか時間も間に合った。

準備に専念できるよう、定休日に来てもらうようにしてよかったな。コースでのお料理はなかなか人手が足りないもの...

間も無くして、お店の前が賑やかになった。
いつもとは違う感覚に、どきどきする。

いつもっていうのは、

元気な、元気な、
”ゆきねーちゃーん!きたってばよ!”と”ボク大盛りで3つ!” のこと。


「こんばんは!ゆきさん」


サクラちゃんの挨拶を皮切りに、わっと華やかな声で店内が埋め尽くされた。

今日のお客様は、サクラちゃん、火影様、シズネさん。いのさん、ヒナタさん、テンテンさん。少し遅れて、紅さんとアンコさんの8名。

さて、料理の方は。
一口でぱくりと食べられるように。
目にも美味しく。

太刀魚と大葉を重ねてくるりと巻いて、串を刺す。薄く衣を纏わせて天麩羅に。梅塩、レモン塩、天つゆと大根おろしで。

蒸し物は海老のしんじょ。蓮根、牛蒡などの根野菜も蒸して歯応えのあるものを。お肉も欲しいな。牛肉を焼いて、山葵。

ご飯ものは、可愛らしく手毬寿司。焼き秋刀魚の寿司も良いけれど、後味が残る青魚は避けておいた。

鮭、甘く炊いた椎茸、薄焼き卵、青菜の漬物。小さくて色鮮やか。これをお出しした時には、皆の顔に花が咲いて、照れ臭くなってしまった。

あと残すは最後のお楽しみの甘味。
甘栗甘の数種類をお気に入りのお皿に盛り付けたものだ。お出しするのはもうしばらく先で良さそう。


「テンテンさん、飲み物いかがですか?」

「あ、お願いします!ヒナタもどう?」

「ありがとうございます。戴きます...」

「いえいえ。ほかの皆さんは、」

「熱燗だな、なあ、シズネ」

「そーれすね、紅先生もアンコさんもほれほれ」

「ふふ、出来上がってますね」

「もう、シズネったら飲み過ぎよ」

「うるさあい、ゆきさんもほらあ、こっちに来て一緒に女子会しましょ」



コースの2時間の時間制限なんて、あってないようなもの。

女の子の話は尽きないのだ。


「ふふ、お言葉に甘えます」



秋の夜長とはこのことかもね



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