ナルト

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「いらっしゃいませ!」


ここ数日、雨のしとりで路地が色濃い。
今朝もそうだ。
色づいた楓や銀杏はぱた、ぽた、と音を立てて落ちていく。

なんだか店の中まで暗くなったようで、それに負けじと、開店1番のお客さんを明るくお迎えした。


「おはようございます、ゆきさん」

「サクラちゃん!お久しぶりね、元気してた?雨続きで冷えてない?」

「はい、雨になんて負けてられないですよ!」


ぐっと力強く拳を握る彼女。


「ふふ、雨雲も飛んでっちゃいそうね」


この間カカシさんに聞いたのは、若い忍が皆、強くなろうと日々修行に励んでいること。

サクラちゃんはチャクラのコントロールに秀でていること。火影様の直々の弟子で、医療忍者であるということ。

医療忍術と聞いておっぽを思い浮かべた私は、どこかで彼女の来店を望んでいたようで、一気に気分は上々だ。


「サクラちゃんが朝の時間に来るのは初めてだよね。小鉢が選べるの、どちらにする?」

「あ、あの...へへ、すみません。朝ごはんは済ましちゃったんです。今日はお願いがあって」

「お願い?」

「師匠とシズネさんがある居酒屋でですね...」



“大好評♡女子会コース \1980〜”


『女子会プラン?何だこれは』

『女子だけで集まって飲食をする会だそうですよ。食事はそれ用に量が少なめでリーズナブル。見た目の可愛らしいもので用意される、と』

『普通に友人同士で食事に行くのと何が違うんだ?』

『うーん、大きく違いはないとは思いますが。気持ちが高まるんですかね。女子だけの特別感というか...』

『ふむ...サクラを始め、くノ一も男たちに負けじと頑張っているしな。ここはひとつ、くノ一女子会をするぞ!』



...と、いうことで、

“女子っていう歳でもないですけどねーあはは”

...と、口を滑らせたシズネさんは危うく半殺しだったそうだ。


いつも、腹ペコのお客さんに、お安く、お腹も心も満たされる料理をいかに提供するかを考えてきた。

けれど、今回は女子会。話が弾むように、かわいく、おいしく。いつもと違う視点でお料理を。

とても新鮮で、わくわくする。

女子会 2時間コース8名分、3日後の木曜日の夜。



「よし、料理を考えなくちゃ」



ぐん、と腕をまくって厨房に立つ。
先ほどの、暗い雨にも負けない逞しい桜色を思い浮かべた。



朝雨、女の腕まくりとは大嘘ね



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