ナルト

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「ふああ...」

「おつかれさんだな、カカシ」

「アスマじゃない。今日はこれからか?」

「あァ。ところで、砂の国はどうだったよ?春の砂嵐で大変だったんじゃないか?」

「我愛羅...風影と同行したからね」

「そうか。...あいつらも立派になったよなあ」

「ああ...」



ナルト達が小さかった頃を思い浮かべ、ふと笑みが浮かぶ。


俺は明方に任務を終え、里に帰還した。現在は報告書を提出し、待機所で火影様からの返事待ちである。

任務が終わって、ここへ来る前。真っ先に向かったのはあの定食屋だった。

味噌汁の淡い匂いが路地に漂って、腹の虫が我慢ならなくなった。まだ暖簾が上がっていない入り口を通り過ぎ、細い路地に面した勝手口の方からお邪魔をしたのだ。

ま、"砂まみれで調理場に来てはだめです!"って怒られたけどね。



「それにしては小ざっぱりしてるなあ。銭湯に寄ってきたのか?」

「んー、そんなとこだな」

「女の家か...ンなわけねえか、任務続きだもんな」

「そーそ、もーお くたくた」

「いや、けど寝技師のお前だか「ちょっと、怒られたいの?」



エンリョしとくわ、とアスマは苦笑い。

女の家...あながち間違いではない。朝食ができるまでにとゆきに風呂場へ促されたのだ。

アスマのいうような色っぽいものではなく、とにかく砂を落としてさっぱりするようにというわけなのだが。

いつも味噌汁や照焼きなどの美味しそうな匂いの彼女は、シャンプーはどんな匂いなのだろうか。年甲斐もなくそわそわしてしまう。

そんな期待もすぐに打ち砕かれた。

脱衣所に漂うは、酒と男の匂い。

酒や男の匂いなんて、慣れたもんだが、人の淡い期待を見事に崩したそれに無性に腹が立った。

ざっと見渡せば、これから手洗いするのだろう、彼女のお気に入りの着物が入った盥があった。

店に酒の匂いはしない。着物から煙草の臭いがしない、と、いうことは...だ。

男の家しか考えられない。この匂いが誰のものかまでは思い出せない。


....ヤマトはナルトたちと数日の任務に出ているからありえないな。

シカマルにそんな度胸はない。テマリとの間柄も噂されているんだよね。

イズモ、ライドウは相手にされていない。

イルカ先生は子供たちの手前、休みを前にせずして呑まないそうだ。が、ゆきに誘われたらどうかな。

残す被疑者は....



"カカシさん、そろそろできますよー"

と、俺の思考は最有力候補の顔を思い浮かべずしてストップ。

独り身には縁のない温かい声かけには敵わない。淡い匂いに包まれた俺は、そそくさと風呂場を後にした。



「お兄ちゃんとやらも油断できないよな」

「は?」

「あ、いや、こっちの話で」

「小説の読みすぎだな。...金曜だし、たまには飲みに行かねえか」

「あはは...そうだな、今日、何もなければ」

「ごもっとも...何もないといいな。」



近頃は砂と木の葉の関係が少しずつ良くなってきているが...

アスマも暁という存在を懸念しているのだろう。渋い顔をして胸のポケットに手を伸ばした。



「あっちょっと煙草は」

「なんでだよ」



朝の一服をさせてくれとアスマが懇願する。



「だめなもんは駄目。」


だってなあ...

シャンプーの匂いが消えちゃうじゃない

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