ナルト
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「うー、おさけくさ...」
お酒の匂いが鼻についてぼんやりと意識が戻る。背中が冷たくて、身体もなんだかずっしりと重たい。
それにしてはちゃんとお風呂入ったんだ。身につけているのはゆるいシャツとズボン。そうだ、ゲンマに寝巻きを借りて...
「...げ。」
「お前なァ...男の家で寝といて、一声が酒臭いだ、げ、だぁ」
視界に入る髪越しに、気だるそうな目と目があった。
指がそっと前髪を掻き上げてくれる。心地よくて、また目を瞑る。
「...ゲ....ン、マ」
途端、身体への重みが一層大きくなる。背中を引き寄せられ、布団の中にすっぽり入った。大きな手に冷えた背中がほっと温まる。
「誤魔化すの下手くそ」
「ん、第一声の正解は?」
「...名前を呼ぶのは90点」
「ふうん。ん、さむい」
鼻と頬が冷たくて、布団の中に顔を埋める。
「っ、....100点満点だよ、ばかやろ...」
「ふふ、満点なんて...」
「ゆき?」
"おにぎり作ったとき以来"
最後まで声に出たかは定かでない。
けれども、そうだな、おやすみ。と呆れた優しい声がした。
また作ってくれな、と。
後頭部を触れる手も、腕にかかる重みも心地よくて、再び微睡みのなかに落ちていく。
「うん、」
約束ね。おやすみなさい