ナルト

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「ナルト、またあの定食屋行ってたのか」



酔っ払いたちで大通りが賑わっている。任務終わりでさっさと帰ろうとしていたところ、ナルトたちとすれ違った。醤油の甘辛い匂いと少し違う甘い匂い。


「カカシ先生!おう、今日はお月見会でお団子たらふく食ったんだってばよ!先生は行かないのか?」

「そうか、よかったな。ま、俺は帰って寝るよ..」



それに、甘いものだめだからね。



「まあそうだよなー、それに今頃、隊長とねーちゃんがいーい...」

「ナルト、行くぞ」

「待てってば!じゃーな、カカシ先生!とにかく今はほろりに行かない方がいいってばよ!」



あーはいはい、相変わらず元気な奴だ。腹一杯食べさせて貰ったのだろう。月は天頂を過ぎたというのに、意気揚々と人ごみに紛れて行った。



「さーて...」



ヤマトとゆきちゃんが何だって。

甘味は興味はないが二人の甘い時間は見過ごせない。イチャイチャパラダイスましてやイチャイチャバイオレンスになったんじゃあ堪ったもんじゃない。

こういうとき忍というのは便利なもんだ。



「カカシせんせ...!た、助けて...」



定食屋に駆けつけてみたが、どうやらバイオレンスの方だ。
四柱牢の柵と引戸の隙間から、仰向けに倒れたゆきちゃんの潤んだ目が見えた。息苦しそうな声で俺の救いを請う。

嫌がる彼女を押し倒すなんてヤマト、お前なかなかプレイボーイだったんだな。こんな引戸つくってどーするつもりだ。



「ゆきちゃん」



牢をぶち破って中へ入る。



「カカシ先生...!」

「っはあ、カカシ先輩...?」

「...くそ、一歩遅かったか」



息切れし、紅潮した男がのしかかっていた。なんてもん見せてくれるんだよ...



「もう、ヤマトさんぐったりしちゃって、全然元気なくって、」

「え、」

「私じゃどうにもできなくって、」

「ちょ、ちょっと、お嬢さん?」

「あっ、ヤマトさん、また熱くなってきてる、」



待て待て、聞きたくないぞ俺は...



「帰るよ、人の情事を見るシュミはないんでね」

「だめ!熱で倒れた大の男を運ぶなんてっ」

「は?」

「というか重い、お願い、助けてください」



わけがわからず、とりあえず無抵抗な後輩を引き上げる。だらりとだれた身体は熱く火照っていた。



「ふぅ...ありがとうございます」

「あれ、ちゃんと服着てるな」



いつもと違う着物をきちんと着付けた彼女は、重たかったー、と起き上がる。



「木の葉病院、空いてますかね?」

「...そういうことね。ただの熱だ、夜間行くほどでもないだろう。一晩寝かしてやってくれるか?」

「ええ、布団敷いてきますね。あと、お粥とお薬も。」



彼女はするすると階段を下りながら、任せて、というように目を合わせる。ちょうど穏やかな笑顔が見えなくなった頃、肩の方から力の抜けた声がした。



「...先輩、イチャパラ読むのやめたらどうです... 」

「余計なお世話だよ...」



しっかり意識あるじゃないか。このまま家へ連れてってやろうか。しかしせっせと布団を敷く姿を思うと無下にもできない。

彼女は寝ずに看病するのだろうか。





しょーがない、新刊読みながら付き添ってやるよ。

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