ナルト

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「よし、それじゃあやっちゃうよ。木遁...!」



風がびゅうびゅう通り抜ける、四柱牢の屋上に引戸が出現した。

今日は招待されたお月見会に出席。任務終わりでくたくただったが、

"この屋上、とってもいいです。眺めも良くて、風通しも良くって。屋外でお掃除は大変だけれどね、のんびりするのに最高なの"

そう言って緩んだ頬をもう一度見たいのと、掃除が少しでも楽になるようにと、身体が動いてしまった。

掌で転がされてると言われても否定できない。



「初代火影に怒られるんじゃないすっか?下心見え見え。」

「そーだってばよ、ヤマト隊長ってばゆきねーちゃんにメロメロでだらしねーんだから」

「これだけ美味しいお団子ご馳走してくれるんだから好きにもなっちゃうよねぇ」



き、聞こえたらどうするんだ!
ナルトたちに鋭い視線を向ける途中、戸を開け閉めする、紅い竜田川文様の小袖に目を奪われる。



「ああ、月が綺麗。」



古風な小袖に、古い書物の恋文を思い出してしまう。

うっとりと眺めながらそんなことを言われちゃ、そんな顔をされちゃ、たまらなかった。

月明かりの映った潤んだ瞳。少し寒いのか、僅かに紅い頬と鼻。

唇も、艶として紅くて。



"こりゃ野暮だな、チョウジ、ナルト、帰ろうぜ"

"え〜。まあ満腹だしねぇ。ゆきさん、ご馳走様!"

"ねーちゃん、隊長、先帰るってばよ...って聞こえてないか"



賑やかな声が遠ざかっていった頃
触れた頬は思いの外冷たかった。

頭がぼうっとして、真っ直ぐにこちらを見る瞳に吸い込まれていった。



「ヤ、マトさん、」







もう幻術でも構わないな。

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