ナルト
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「んー!風も、月も、お団子も、最高!」
夏にゲンマがお客さんを招いてくれたお陰で、小料理屋ほろりもじわりじわり軌道にのってきました。心と懐の余裕が出てきて、まんまるお月さんも出てきて。今日は常連さんとでお月見会。
ここは先日の宴会でヤマトさんが発動させた四柱牢。天井を屋根をも突き破り、一時はどうなるかと思ったけれど、展望台へと作り変えてもらったのだ。
「ゆきねーちゃんの場合、お団子がメインだってばよ」
「ナルトだってそうだよ、あっそれボクの団子!!」
「チョウジも人のこと言えねぇだろ」
「あら、シカマルくんもそのほっぺたじゃあ説得力ないよ」
「ちょ、ゆきさん」
頬に少しきな粉がついてるのをおしぼりで拭う。あ、そうか、年頃の男の子にこれは嫌だよね。
"...まあ、いいっすけど"
"シカマル照れてるー"
"にしし、ヤマト隊長やゲンマさんに見つかると大変だってばよ!"
お団子を頬張りくぐもったやんちゃ声が聞こえてくる。みたらし、黒胡麻、きなこ、黒蜜。いろんな付け合わせも楽しんでもらえてるみたいでよかった。
「何が大変だって?」
「隊長がヤキモチを...げ、たいちょ...」
「あー、美味しそうだねえ。いま火遁使える人いないの」
「さすがチョウジくん!焼きもちかあ、みたらしは格別だろうなあ、あ、ヤマトさん!」
仕事終わりのヤマトさんが現れた。少しばかり顔に疲れが伺える。疲れたときには甘いもの、これはやっぱり甘辛のみたらし団子を焼いちゃおうね、七輪とってこなきゃね、とチョウジくんと意気投合する。
「ねーちゃん...そっちじゃないってばよ」
「僕もなんか残念だよ」
「え、あ、」
"ナ、ナルトくんがデリカシーのないことを言って気まずくなるのをフォローしたの。"
なんて言い訳をいい歳して花より団子な自分を慰めようと呟いた。
それにしても、残念だなんてひどいです、
「ということはヤマトさん、ヤキモチやいてくださるの。」
少しばかり仕返し、
「...ぼっ僕は火遁使えないですよ!」
「えっ、やっぱりそっちだったの?!」
なあんだ、ちょっと残念。