ナルト

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「きょーはあの店に行ってみるかな」


大通りの角の小さな店へと向かう。
任務続きで兵糧丸ばかりだと、温かいごはんと味噌汁が恋しくなるもんだ。



「やっ。定食頼めるかな」

「いらっしゃいませ。カカシ先生!定食ですね、カウンターにどうぞ、お冷少しお待ちいただけますか」

「どーしたの、すごく忙しそうじゃない」

「ふふ、宴会のご予約を頂いたんです。その準備で、これはちょっと手が離せなくって...う、あち」



途端に、ぶわっと彼女の顔が蒸気に包まれ、ごろごろと茹で卵が転がる音がする。



「今日の定食は、まさか茹で卵?」

「もう、違いますよ」



だよねえ。ま、それは冗談なんだけ...



「はい、とろっとろ半熟卵」

「....え、まさか」

「ふふ、冗談ですよ、お冷お待たせしました」

「あ、ああ。ありがとう。ま、冗談でよかったよ。...ちなみに、今日は何?」

「鶏のさっぱり煮、新玉葱と半熟卵、インゲン豆の胡麻和え、茄子とお揚げのお味噌汁です。お腹足りそうですか?苦手なものがあったら言ってくださいね」

「いーや、じゅーぶん。ぜひ頼むよ」



振り向きざまにニカと笑いながら、それに似つかぬかしこまりました、という丁寧な言葉。この仕事が楽しくてしかたがないといったところだろうか。


ぼんやり聞こえる、千切りの音や鍋の吹き零れの音が心地よい。音につられて俺もぼんやりと考え事をする。

ふりむきざまの屈託のない笑顔が、不思議と目に焼きついた。微かに、旧友を思い出させたせいもある。

今はどんな顔をしてるのか。背中を向けている今も、柔かなのだろうか。いや、意外に真剣な顔をしていたりしてな...



「...ぅわ、あ!いつのまに」

「んー?ちょっと、気になって、ね。」



どうも足がむず痒く、いつのまにかカウンターの向こうへ赴いてしまった。3分くらい、隣で見てたんだけど、気付かないとはね。ま、さすが俺ってとこかなあ。あはは...



「もう、心配しなくっても、頑張って美味しいのお出ししま...あー!エプロンも三角巾もしてないのに、調理場に来ちゃだめです!!」



味見をしてニヤけ、真剣な顔で盛り付けて、俺がいたぶん驚いて、今度は怒るのか。ほんとうによく動く表情筋だな。サイに見習わせたいくらいだ。



「いやー、ごめんごめん。」

「ふふ、もうすぐですからね。」



気になってるのはゆきちゃんなんだけどね。そう言ったらどんな表情を見せるのか。ちょっと言ってみたくもなる。



ま!今日はのんびり好物を戴くとするかな

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