ナルト
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「ヤマト隊長、顔がだらしないってばよ」
任務終わり、報告書を出してそれぞれ家に帰ろうとしたところ、ゆきねーちゃんがお願いがあるのだとやってきた。
夕陽のせいか、顔が赤く染まっている隊長。昼頃サクラちゃんが頼み事をしたときの渋い顔とは大違いだ。
「はい!はい!何膳作ります?100膳くらいいけますよ」
「ええ...と、もう、そんなに大きなお店じゃないんですよ?」
「はは、10くらいにしときましょうか」
張り切りすぎて、ゆきねーちゃん引いちゃってるってばよ。
"ようし、...木遁!"
"わぁあ...すごい..."
"ほい、ほいと"
"ひゃ、そら豆がたの箸置き!"
"もういっちょ"
"きゃー!匙まで!!"
むむむ...そんなに調子乗って
さっき任務でクタクタだってラーメン
断ったくせに。もー、一人で行くからなあ
「それじゃーヤマト隊長、ゆきねーちゃん俺行くってばよ」
「え、ナルトくん行っちゃうの?うちでご飯ご馳走しようと思ってたのよ」
隣で聞いてたヤマト隊長がピクリと動く。
なんでもないふりしてるみてーだけど、これはきっと嬉しくってそわそわしてるんだってばよ。
「んー、今日はラーメン食べたい気分でさ。でもヤマト隊長は クタクタでご飯食べに行くのしんどいって。ねーちゃんも来る?めちゃめちゃ上手いんだ!」
調子のいい隊長を少し懲らしめるのに、ゆきねーちゃんをラーメンに誘ってみた。
「もしかして、前に言ってたお店?一楽だっけ、ぜひ。ご一緒させてほしいな」
「もちろん!」
「やったあ!味玉トッピングしちゃおう」
"ナルト....許さないよ...."
そんな声が聞こえてきた気がするけど、聞こえねーふりだってばよ!ふんだ。
それにしても、今日の任務は疲れたなあ。朝早かったのに、あっというまに夜になってきた。ラーメン楽しみだなあ。
ねーちゃんの荷物まとめは まだかと後ろを振り向くと、隊長に耳打ちするゆきねーちゃん。何かの約束だろうが、ねーちゃんのことだから”また来てね”とか”今日のお礼を”とかだろう。
ゆきねーちゃんは立ち上がり、ラーメンラーメンと足取り軽くこちらへ歩いて来た。
隊長の顔が赤かったのは、どうやら夕陽のせいではなかったらしい。
覆ってきた深い紫と、ぽつ、と光りだした一番星を眺めながら一楽へと歩く。
よかったな、隊長!