ナルト
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「全く、先輩は人使いが上手いんだから...」
任務終わり、いつの間にかカカシ先輩に押し付けられていた書類を片付け、愚痴をこぼしながら帰路を歩く。
空はすっかり夜に覆われ、月は霞雲でぼんやりと光っている。
ふと意識の隅にもうひとつぼんやりと光るものを見つけた。ああ、ここはー...
"ぎゃー!俺何にも言ってないってばよ!"
"うるさい!あんたはデリカシーってのがないのよ!"
"サイが蒔いた種だろ、メモとってないで助けてくれってば...ひぎゃー!!!"
はあ、何をやっているんだ...聞き慣れた声、聞き慣れたやりとりに溜息が零れる。
こんな小さなお店で3人があばれたらひとたまりもないだろう。部下たちが迷惑をかけるわけにはいかない。ここは上司の僕がビシッと言わないと。
「君たち!何をやっているんだ、そんなに騒いだらご迷惑だろう!」
戸を開くと同時に、3人に喝を入れる。
しいん、と静まった店内。おかしいな、恐怖による支配をしてるわけでもないんだけど、やけに静かだ。
店の奥の方から、ビリビリと肌を刺激するようなオーラを感じる。
「...食事のマナーはご存知?」
にっこりと笑う店主は、この間のそれとは違う。ナルトの九尾のチャクラが漏れだしたような迫力だ。思わず封印術の印を結びそうになってしまったじゃないか。
「片付けなさーーーーい!!!」
「ハイーーーーー!!!!!!」
3人とも顔面蒼白でせかせかと片付けを始める。茶碗がひっくり返ったり、お酒が零れたりひどいもんだ。
「すみません、ゆきさん、うちの奴らが」
「ヤマトさん!来てくださったんですね。ふふ、私も恐怖による支配、やっちゃいました」
「便利でしょ」
「ええ、とても。」
表情が柔らかくなった店主。先ほどの尾獣のオーラはどこへやら、にこやかに僕をカウンター席へと勧めて猪口を差し出す。
少し冷えた身体に熱燗がクゥッと沁み渡る。
ああ、美味しいなあ。
「よう、任務終わりか?」
「あれ、ゲンマさん」
「五代目とシズネもいるぞ」
くん、と千本で後方の座敷を差しながら、隣の席へ腰掛ける。里のトップとそのお付きは日々の疲れか飲み過ぎたのか気持ち良さそうに寝息を立てている。ったく、この人たちもナルトたちと変わりゃしないよ。
「カカシさんに書類を頼まれまして。ったく、仕事を押し付けるのが上手いんだから。」
「それはそれは、後輩に褒めて貰えてうれしいでしょうよ、カカシさん」
「そうだね。」
「うわ!先輩!?」
「言うようになったじゃないの」
き、気まずいぞ....