ナルト

□09
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「最近ね、おっぽに会えないんだ。」



初めてゲンマと話した日も、おっぽは姿を見せてくれた。毎年この頃になると、飛べるようになったばかりの小鳥を連れて会いにきてくれてたというのに。そう不満をこぼす。

すると、ゲンマの驚いた顔。エスパーか?ちょうど俺もそれ思い出してたんだ、って優しく笑って、おつまみとお酒を交互に食べ飲みする。



「口寄せしてもか?」

「胡桃のやつでしょ?やって見るんだけど、それで来たことはないよ」

「ちげーよ。」



え、口寄せって、胡桃とか取り合って食べる遊びじゃないの。
そう言い足すと、シラけた空気が流れる。誤魔化すように、お酒を流し込む。えーと、えーと、もう少しまともなこと言わなきゃ。



「あ...あとは、手を地面について、念を送ってみるんだけど」

「んー、おしいな。おっぽは何時も薬草持ってきてくれてただろ、」

「それは、よく転けてたから。見兼ねて来てくれたのかな、お医者さんみたいだよね。」



あ!そっか、大人になってから転けなくなったから会えないんだ!
そう言って独り合点していると、ゲンマはいよいよ白目を剥いている。
白眼!なんちゃって。



「口寄せってのはな、ざっくり言えば血で契約を結んだ動物を呼ぶ忍術だ。お前、いつも木の実探して傷だらけの手でズッコケてただろ。それでおっぽを呼んでたって訳だ。」

「へええ...そうとなると私って結構、鈍臭かったのね」

「そっちかよ」



まあ、そうなんだけどよ。といいながらお猪口を傾けるゲンマ。お酒なくなる頃だけど、そんなこと言うからついであげないよ。

蒸かしている大根の、じゅんわりと水分と甘みを含んだ匂いがしてきた。食べごろかな。

そろそろ大根食べる?そう聞こうとした時、



「会いたがるのは分かるが...
お前はもう口寄せするんじゃねえぞ。」


っえ、なあに、突然。


「あの木登りも、水面を歩くのも、花を咲かすのも。チャクラを使うんだ、絶対にやるな。」



苦い顔をしたゲンマが一気にそう言う。普段、口数のあまり多くない彼がこんなにもやるなやるなというから、違和感ばかりを感じる。気だるそうな目もいつもより真剣だ。



「最近、この国を囲む情勢が不安定だ。暁という不穏な部隊もいる。戦争も近いかもしれねえ。もしも忍術が使えると知れたら、何があるか分からねえ。


心配なんだ。急に10年も会えなくなって、また居なくなったら、って」



真っ直ぐ見つめられる。
カッと頬が熱くなり、射抜かれたように、目を逸らすことができない。


「なんで、」



そうだ、お酒が回ってきたんだ。ゲンマの目だって少し座ってるもの。

いつも冷静だったはずの彼が、慌てたり驚いたり笑ったり、真剣になったり、




「ゆき、お前は俺の側にいろ。」






ああ、もう、今日は2人とも飲み過ぎだ。

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