ナルト
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「ったく、木遁忍術で足引っ掛けるなんてずるいってばよ」
「いつも逃げちゃうからだろう、僕だってこんなことに木遁使いたくないよ」
ヤマト隊長に足を捕まえられて、影分身に助けてもらうか身代わりの術で逃げようとも考えた。
けれど、目の前の建物がまさかの小料理屋。抵抗する間も無く、俺はあっけなく野菜フルコースの餌食となった。いや、これからなるんだ。
「た、たすけてってばよ、ワキゲのねーちゃん!」
そう言った途端、空気がどんっと重くなった。怖い顔のヤマト隊長の背後から、ねーちゃんの声がした。すこし低めの穏やかな、
「そうねえ、それじゃあうちにいらっしゃいな。野菜、たくさんありますから。」
悪魔の囁きが。
トントントン、とねーちゃんが野菜を切ってる音が聞こえてくる。サラダは嫌だな、あーあ、一楽のラーメンが食いてえなあ。
「いやあ、すみませんねえ。野菜フルコースなんてワガママ聞いていただいて」
「いえ、かまいませんよ。むしろ嬉しいです、お店を構えたばかりでお客さん少なくって」
ヤマト隊長は俺を捕まえられて満足そうで、ねーちゃんの微笑みは悪魔のそれに見える。
「なあなあ、ワキゲのねーちゃん。何作ってるんだ?俺生野菜ニガテなんだってばよ。」
「ちょ、その呼び方..サラダ作っちゃいますよ。」
「ごごごめん!えーと、えーと、」
「"ゆき"っていうの。」
「ゆきねーちゃんだな!よろしくってばよ!」
「ふふ、よろしくね、ナルトくん」
にっと笑ったワキ..ゆきねーちゃんの顔は、悪魔が消えて優しく綺麗だった。そんでもってヤマト隊長の顔はいつになくだらしなかった。
「お2人とも、もう少し待っててくださいね。あ、ごはんはどのくらいよそう?」
「んー、超大盛り!」
なんかいい匂いしてきたってばよ!