ナルト

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「あのさ、あのさぁ!その白い水なんだってばよ?なんで草にそんなのかけてんだ?」

「....」

「っおーい!聞いてんのかよ、ねーちゃん!」

「っあ!?...え、あ、この水、は、ごほ、
ごほん。
この白いのはお米のとぎ汁なの。栄養がたっぷりだから、こうして水遣りに使うといいのよ。」

「ふぅーん。知らなかったってばよ。」


水遣りながらの微睡みを、ぱっと覚醒させたのは明るい声と眩しい黄色だった。だれだろう、この元気な男の子。


「これはね、ただの草じゃなくって、ワケギっていってね、食べれるのよ。こっちはニラ、向こうが三つ葉。」

「ワキゲ?!ねーちゃん脇毛なんて育ててんのか?!へんなの!」


ワキ...!小さい子供みたいな間違いしちゃって..通りの人が変な目で見てる。やだやだ、みないでくださいよ。


「ナルト、ワケギだよ。ワキゲ育ててるなんて、周りの人が気にしてるし、女性に失礼だろう。すみません、お嬢さん、ナルトが失礼なことを...」


そういって、スタリと上から降りてきた忍者さんは、私の気持ちを代弁してくれてやんちゃ青年の頭をこつりと小突いた。


「げええっ、ヤマト隊長!くそっ、逃げ...あっ?!」


どしゃっ

ヤマト隊長と呼ばれる忍者さんから逃げようとしたとたん、ナルトくんの顔面が地面に埋まった。


「今日という今日は逃がさないよ。いつまでもラーメンばっかりじゃ栄養が偏るだろ。
おとなしく、野菜料理フルコースを食べてもらうよ!

僕は恐怖による支配も嫌いじゃないからね...」

「...ヤマト隊長、顔が怖いってばよ..」


どよりと淀んだ空気が流れる。春の前のくすぐったい陽射し、と思えば真夏のような眩しさ、と思えば丑三つ時のような不安な空気。
今日はなんだか気分が忙しい。

そんな空気を変えた彼はこちらに背を向けているけれど、ナルトくんの顔が引きつってるところ、相当恐ろしい顔をしているのがうかがえた。



「た、たすけてってばよ!ワキゲのねーちゃん!」


「ワケギだってばよ。」



...ぜーったいたすけてやんないんだから!

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