銀魂
□酒は飲んでも飲まれるな
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玄関の電気をつける。パチ、とスイッチを押す音がやけに響いた。普段ならきっと寂しく聞こえるところ、今日は喧騒の後。ふっと息を吐けば、頭がスッとしてなんだか気持ちいい。
履き物を脱いでいると背後から声をかけられた。
「あれ、ゆきちゃん。なんでここに」
「あら、山崎さんこそ、なんでここに」
「俺は今任務終わりだよ」
「花見にいませんでしたか」
「ちょっ酷くない」
「あはは、冗談ですよ」
ほんとかよ、と不機嫌そうに言われる。本当はほんとに気が付いてなかったの、バレてる。
「で、ゆきちゃん花見はもういいの」
「おつまみとお酒の補充にきたの。山崎さん、一息ついたら一緒にどう...」
途端、ぎゅう〜と山崎さんの腹の虫が鳴いた、
「先にご飯にします?お風呂?」
「そうだな。埃まみれだし、風呂入ってくるよ...はは、これが新婚さんの会話ならなあ」
山崎さんを見送り、割烹着を被る。
さあて、何からしようかな。
台車に乗せる順番からして、お酒を出してこよう。あと未成年用のジュースと介抱用のお水。
次はおつまみ。
五徳に網を置きスルメを軽く炙る。醤油マヨに一味を混ぜて、スルメと一緒に盆にのせた。あとは、チータラとお漬物と...
最後に、はらぺこ山崎さん用に軽食を。
一通り支度ができたところで、袴姿になった山崎さんがやってきた。
早速缶ビールを開けて飲んでいる。
「っはー、うま!仕事終わり、風呂上がりは格別だね」
「お疲れ様。はいこれ、ちょっとお腹に何か入れてくださいね。お酒にご飯になるけど...」
「ありがとう。気にしないよ、ゆきちゃんの飯なら何でも美味しいし」
「あはは、そんな口説き文句。それこそ新婚の時に取っといた方がいいですよ。でも、うれしい」
軽食は、おむすびを2種類。
刻んだたくあんをごま、鰹節、生姜、醤油で味つけて混ぜ込む。それと、天かすと甘辛く焼きつけたネギを混ぜてたぬきむすび。
おむすびは、気持ちいいほどあっという間になくなった。山崎さんがご馳走さまと手を合わせる。
「そろそろ行こうか。ゆきちゃん、世話ばっかりで飲み食いしてないんじゃない?」
花見弁当残ってたらいいなあ。
2人で話しながら、宴会会場へと足を運んだ。