銀魂 攘夷
□放課後の坂田くん
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「痛...あのヤロー思いっきりやりやがって...」
寺の下にある川辺で寝そべっていると、次第に陽も射さなくなり冷えてきた。帰ろうかと身体を起こせば、傷や節々が痛んだ。
怠さを引き連れて寺に戻る。門をくぐったところで、ガタン!と不審な音が聞こえてきた。
「おい、誰かいるのか」
音の方へ行ってみれば、梯子が倒れているだけだった。踵を返したところに、銀時、と声をかけられる。
「ゆき?...っていねーじゃん。幻聴か?糖分不足だなこりゃ...」
「幻聴じゃないです、こっちこっち」
「は、どっち...お前また屋根上ってんの」
「今しがた梯子が倒れてしまいまして。」
「頑張って降りるこったな」
「そんなあ」
懲りない奴だ。高いところ苦手なくせに...俺は小言を言いながら、倒れた梯子を直して屋根に上がる。
「へへ、やっと会えた。探してたの」
「んなこと言ってっと彼氏くんが怒るんじゃねーの」
「そんなのいないですけど...」
「あ?昨日も朝からイチャついてたろ。発情期ですかコノヤロー」
「ああ。あれは私もビックリした...」
なんだ、コイツは全然その気がねーの。一人で突っ走ってやんの、とムカつくあの顔に笑ってやった。
「それより、怪我...皆が銀時と晋助がホントに強くて、今日も無傷だって話してたのだけど。何処で怪我したの?早く手当てを」
「どうってことねーよ、唾つけときゃ治る」
これは戦でついたものじゃない...と言うと、ゆきは一層怪訝そうに眉を顰める。あー、口滑らせちまった。
俺は手短に、高杉とやり合ったとだけ伝えた。