銀魂 攘夷
□日課
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「アレお前中入ったんじゃないの」
「ちょっと休憩、おっとっと...」
「何か釣れたか?」
「180cmくらいの声の大きいのが」
「雑魚ってとこだな」
ゆきは、そろりそろりと屋根をつたい、漸く俺の横に座る。
「ふう。ほんと、いつもここに居ますね」
「だからココ特等席つったろ。お前が来ると煩くてたまんねーよ」
「だって居心地いいんです」
「せめて向こう行けって。そんなに俺の横がいいか、そーかそーか」
「落ちそうになった時に助けてもらえると思ったら、足のゾワゾワするのがなくなるから」
「俺は命綱じゃありませーん。辰馬もお前も、苦手なくせにわざわざ舟に屋根に」
するとゆきはへらりと笑って誤魔化した。
「やっぱりここ夜風もきもちいいー....」
夜風が木の葉を鳴らし、ゆきの髪がそよぐ。いつもなら石鹸か餡子の匂いに鼻をくすぐられるところだが、今日は春の匂いがした。
「あ、あそこで揺れてる木。あれ八重桜なんです。近々、花を詰みに行くの。それを塩漬けにして、」
暗闇でもわかるくらい、うきうきした表情で話をするゆき。
「で...明日は何つくんの」
「葉の塩漬け買ってきたんです、お茶か、お餅か、それとも桜餡で」
「しょっぱいお茶よりは桜餅だな」
「じゃあ、桜餅」
「砂糖マシマシな」
「ふふ、ほどほどで」
さて、お風呂入ろっと、とゆきは緊張しながら下へ降りて行った。
明日のお菓子の内容を決めて、寝床につく。
これが俺の日課になった。