銀魂
□コイゴコロ
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障子が閉まるのを見届け、2人になった。
私は少し気まずくて黙っていると、少しして土方さんが小声で話を切り出した。
「総悟のやつ、柄にもなく浮き足立ってるな。何処行くんだ?」
「んー、どうしたんでしょうね。...弟がいたらこんな感じなのかな。土方さんこそ沖田さんに用事ですか?」
「はぐらかすんじゃねーよ」
「言ったらきっと沖田さんが怒るので」
「よく分かってんなァ...」
そう言って障子を見遣る土方さん。貴方も嫌ってほど分かってるでしょうに。
「時間はあるので、ちょっとくらいなら沖田さん捕まえてても大丈夫ですよ」
そう言って踵を返し、玄関へと向かう。すると土方さんもこちらへ歩いてきた。
「?」
「...屯所内ブラついてただけだ。ただ見回り時間でも無いのに食堂やテレビの前にいなかったんでな」
それで、沖田さんの様子を見に。真っ直ぐ前を見るしかめ面をじっと見ていると、不器用さと素直さのなさに思わず笑いそうになってしまう。
「何ニヤついてんだ」
「え、そんなことないです、これっぽっちも」
「それで真顔のつもりかよ」
「んー、人相がいいので。...優しいお兄さんですね」
「誰がアイツの」
気まずそうに髪を掻く彼。
その髪は後ろがぴょこんと跳ねて、鬼の副長も形無し。なんだかもう可笑しくて、ついに声をあげて笑ってしまった。
喧嘩売ってんのか、いい加減にしろと言われても笑いが止まらない。
ついには土方さんも、ふっ、と零してしまった。
「釣られましたね」
「釣られてねぇし笑ってねぇ」
「素直じゃないんですから」
すれ違う隊士さんに怪訝に思われながら、2人して笑って廊下を歩いた。