銀魂
□イタズラゴコロ
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「誰だ」
びくりと肩を揺らす。
音も立てず歩いたのに、後ろ向きなのに。
ばれていないと思っていたから、ひどく驚いた。
「用があるなら表にまわりな」
ピリリと緊張の走る声でそう言われる。慌てて入り口へまわり、顔をのぞかせた。
誰よりも寝坊助で、誰よりもサボリ魔の彼は鋭い目付きで覗き魔を待ち構えていた。
「おはよう、沖田さん」
「...なんでェ、ゆきさんか」
ふぅと息を吐いて竹刀を下ろす。目付きはいつもの彼に戻っていた。
「毎朝、稽古を?」
「天才はそんなことしなくていーんでねィ。たまたま目が醒めちまって。今朝は蝉が煩くてたまんねーや」
「ふふ、私も今日ミンミンゼミに起こされました」
「俺んとこはアブラゼミだったかな」
稽古の邪魔になるから、と掃除に戻ろうとするのを制止される。
「ま、今日は朝稽古もねぇし...」
見ててもいいの?と聞くと、首を横に振り、竹刀を投げ渡してきた。
「稽古、つけてあげやすぜ」
「げ」
これは1日年休取らなきゃいけないかも...