銀魂
□蜂蜜入り
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『もしもし?あァ、いまファミレスで張り込み中でさァ。面白いモン見つけたんでねィ。ゆきさんも来ます?』
「え、それはお仕事中ごめんなさい。張り込みに私が行くわけには行かないでしょう?危険だったら無理しないようにね、」
『危険っつーか、吐き気すらァ...』
“ひとくちドウゾ”
あーん
“おいし?”
“...おいしいに決まってんだろコノヤロー。こんな可愛子ちゃんにあーんなんかしてもらってんだからよ”
“もー、銀さんたら”
“女はサービス精神旺盛じゃねーとな。な、蓮ちゃんよ”
『...つってファミレスで万事屋の旦那と蓮さんがパフェ食ってます。オエッ。今日の当番変わったんですかィ?で、俺に何の用で?』
「...荷物運び」
『ゆきさんの荷物持ちですかィ?俺ァ奴らと違ってそんなに暇じゃねーんだ...
「ファミレスでドリンクバー嗜む公務がありますか。パフェあーんする女中の仕事も聞いた事ないですけどね。書類いっぱい溜まってて暇じゃないけど暇なんでしょ?ねェ?あー、重くて手がちぎれそう、もう包丁持てないや。私ももう女中引退かなー」
『行きます』
なんと荷物持ちに沖田さんを招集してしまいました。大袋3つも屯所までなんて無理だもん。感謝を述べて、電話を切った。
暫くスーパーの前のベンチに座っていると、沖田さんの運転するパトカーが止まって。
途端に周りのマダムたちが騒つく。
ウィーン、と窓が開くと、
「おう、万引き犯。さっさと乗ってくだせェ」
“ほうら、やっぱり”
“やあねえ、あんなコスプレで万引きして”
“今時の若い人って何考えてるのかしら”
「ちょっと沖田さん?!盛大に誤解招いてるんですけど!」
「冗談でさァ」
「もう。...お迎えありがとうございます。」
「...やっぱ迎えに来て正解でした」
「すごい量でしょ、」
「...あ、そのマヨネーズ地面置いといて下せェ。運ぶ義理はないんでね」
「今日のは明後日の夕飯のタマポテサラダ用ですよ」
「ち、しょーがねーな」
どんだけ土方さんが嫌なの。思わず、ふふ、と笑ってしまう。すると沖田さんは、機嫌直ったな、と言ってサイドブレーキを下ろす。
「...屯所戻ったら、年休取ってくるんで」
「うん?」
「ゆきさんも非番なんだろ」
くりっとした目がじいっとこちらを見ている。その意図がよくもわからず、取り敢えず、うん、と返事をした。
応えるや否や、悪戯っぽく笑った口元。
「じゃあ、決まり」
アクセルがグン、と踏まれて急発進。
ヘッドレストに頭をぶつけたけれど、それでもなんだかスカッとした。
そうだよ、休みは休まなきゃ!