銀魂

□残業手当て
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「お疲れ様です〜」

門番さんに挨拶して屯所の敷地から出る。よし、ミッションクリアだ。


「ゆきちゃん、昼とは雰囲気が大違いだな。どっか飯でも行くのか?」

「んー、たまにはまともな格好しないと。今日、山崎さんに女捨てちゃ駄目だよって言われちゃったんだよね、へへ」

「土方と飯行ってもマヨとニコチンに塗れて女が廃れるだけでィ」

「まあ、そうなんだけど....あ。」


山崎さん失礼なこと言うなァ。と門番さんの声が遠くに聞こえる。
はっきり聞こえた、聞こえてはいけないはずの人の声の方を向けば、さも不機嫌そうな沖田さんが立っていた。

ゴメンナサイ土方さん。ミッション失敗に終わりました!


「俺もつれてけ」

「うーん。お酒の席ですよ」

「無礼講でさァ」


そんなこと言って、未成年は駄目でしょうと、厳しい目を向ける。


「...コーラくらいあるだろィ。つーかゆきさん、明日非番なんですねィ。朝飯、食べ合わせ考えてるって言ってたのに」

「覚えてくれてたんですね。お休みだけど、予定もないしお昼まで手伝おうと思ってて」

「アンタは働き過ぎでィ。...土方のヤロー今日も無賃働きさせやがって」

「沖田さん分の書類が50枚ほどありました」

「そんなもん土方さんが全部やればいーだろー」


今度は一緒にやってくださいよ?今日は土方さんのポケットマネーで奢ってもらうんですから。そう言えば、10枚だけな、とすまなそうに約束してくれた。

門の向こうから足音が聞こえる。もしかして土方さんかな、こんな時に2人が鉢合わせるとほんとうに厄介だ。ようし、


「それじゃ、私はそろそろ」

「それとこれとは話が別でィ。ゆきさんも土方も明日非番だろ、」


沖田さんにがし、と手首を掴まれる。なあに、私と土方さんのお休みが同じだからって何もないはずですが。


「わぁーってるよ、ったく。帰りはゆきの家に送り届けりゃいいだろ」


気だるそうな草履の音がピタリと止んだと思えば、やはり土方さんの声がした。


「俺の部屋な」

「ふざけんな私の家でお願いします」

「部屋入ったらコロス土方」

「というわけで私の部屋までということで」

「お前それ死ねっつってんのか」

「愚問でさァ」

「あはは、...たまには屯所にお泊まりってのも楽しそうですね」


どう?どう?と土方さんに目を向ければ、"しょうがねぇなあ...って駄目に決まってんだろ男世帯に女が泊まれるか!"って顔をされた。

どんな顔だよ。って、解説を入れると、右眉をちょこっとあげて、タバコの煙をプゥと前髪に当てる。そうして土方さんらしくないお間抜けな表情から一変、瞳孔がキュッと開いて私と沖田さんを交互に睨んだのであった。


「じゃ、屯所来た時は俺んとこ来なせえ。下着の替えには困りやせんよ」

「赤とか紫とか紐とか穴空いてるのとか好みじゃないのはつけませんからね」

「心配いりやせんぜ、履かなきゃいんで「心配だらけなんだけどォオ!!」

「うるせーぞムッツリ助平」

「誰がムッツリだ!テメーがセクハ「はいはい、それじゃあ土方さん、今日は日付変わるまでに帰りましょうね」

「お、おうよ」

「お店出る頃に電話しますね、沖田さん」

「5分おき」

「嫌です。お店出る頃に」

「へーい。...行ってらっしゃい」

「ありがとう、いってきます」

「おう、いってき「テメーには言ってねぇ死ね土方」

「剣抜けコルァ」

「臨むところでィ」


また睨み合いを始める2人。もう、なんなのこの人たち...先に行っちゃうよ。

ああ、今日は月が細くて綺麗だなあ。
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