銀魂
□pm
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朝6時から始まった女中のお仕事。朝ごはんとお昼ごはんの1時間の休憩を挟んで、15時に終了。
女中を始めて1年とすこし。始めはこんなに早上がりするのはそわそわして苦手だったけど、今となってはお昼寝とおやつの楽しみを存分に味わえる最高の勤務時間。
おやつは屯所の台所を借りてせっせと作る。ケーキやクッキーの日は生地が焼けるまでお昼寝。んー、幸せ!
ちなみに今日は近藤さんのリクエストでバナナのケーキ...あっ
忘れてたことも忘れてた。
「近藤さーん...お顔を見せてくださいまし」
「ん?なんだいゆきちゃん」
朝に土方さんと話した近藤さんの傷の手当をようやく思い出した。もしかして、半日お仕事さぼってたかな...いつも護衛に出かけてるからしてないのも同然だけれど。
「あぁ、やっぱりそのまんまだ。痛そう...」
「はは、これもお妙さんからの愛のパンチだと思えば、痛くも痒くもないさ!」
あれ、今日はあんまり落ち込んでない、よかった!
「ほんと、お妙さんが好きなんですねえ」
"そんなにハッキリ言われると勲照れちゃう" なんていうゴリ..近藤さんをよそに、消毒液を綿に染み込ませる。
ちょん
「いだだだ!ちょっもうちょっと優しく」
「あら、すみません、痛くないって言ってたので」
「ゆきちゃん、最近Sっ娘じゃない?総悟のやつに似てきてない?」
「あっ、もぅ、動いちゃダメ」
「そんなに顔近くでそんな事を言うんじゃありませんん!バナナがちょっとアレ」
「そうそう、今日はバナナのパウンドケーキですよ〜、」
「え。あ、そっちね。ありがとう、俺がリクエストしたやつだよな」
ニカッと笑う近藤さんの口を閉じさせて右頬に湿布を貼る。モゴモゴと"やっぱり総悟に"
と言ってる
「はい、これで手当て終わりです。もう執拗に追っかけて殴られるのはやめてくださいね」
「おう、すまないな。次は殴られねぇように行ってくるさ!」
「いやあそうじゃなくて」
全然懲りてないなあ、というか一途というか...しょうがない方だ
「ケーキ沢山焼いているのでまた手土産にでも。次は普通に玄関からお伺いしましょ、屋根裏だと家宅侵入だから」
「ゆきちゃん...ありがとう!」
そう言い、すっくと立った近藤さん。お妙さんに正面からぶつかってくるよ!!
意気込んで襖の方へずんずんと進む。
ちょっと待って、と服を掴む。
「ケーキ焼けるまで待ってください、それまで土方さんに回した書類やりましょ?」
「男を引き留めるときは首根っこより上着の裾掴んだ方が....」
なんで萌えツボ押さんといかんのじゃい
「ね?お仕事しましょ?」
「...はい」
てくてくと副長室に向かう局長を、じーーーーーーーーーーっと後ろから見送った。
これは局長をストーカーの税金泥棒にならないようにするための愛なんだからねっ
...なんちゃって。
少しして、"トシ!仕事しに来たぞ!"って声が聞こえて一安心。
少しずつ屯所内に甘い匂いが広がってきた。全然お昼寝出来なかったけれど、まあいいや。
ケーキは可愛く包んじゃおう。
さて、意中の彼女は何色がお好みかなあ。