銀魂

□仲直りの絆創膏
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「私たちもそろそろお昼ご飯食べよっか」

「そうだね…って何そのご飯、」

「名所盛りだよ、どっちがいい?」

「うーん、スフィンクスなかなか…でもこっちの前方後円墳も捨てがたい…て、こんなに食べられるわけないでしょ!どーするのこんなに盛って」

「あはは、いっぱい食べよ!」



もー。といってスフィンクスにのりたまをかける蓮ちゃん。私は食べるラー油が再熱だけど、前方後円墳には青菜ふりかけのほうが似合いそうだからそっち。


モグモグ…

もぐもぐもぐ…

もぐ…



「…デジャヴ?」

「何が?」

「なんだっけな…」

「もー、適当なんだから…ううん、私、人のこと言えないね。あの、ゆきちゃん。これまで無理させちゃって…」



かちゃと箸を置き、少し俯く。泣いているのかな、蓮ちゃんは話すのを止めてしまった。



「アイロンがけでチャラだよ」

「ありがと…実は、土方さんに叱られたの」



アンタが飲んだくれて休んでる間、誰かが穴埋めてるんだ。もう少し責任感持てよ、と。



「浅はかだった。それにゆきちゃんに甘えすぎてた、嫌われたら悲しいなって思ったの。今はもっとがんばろうと思ってる」


“ごめんね”


意中の彼から叱られたことより、私との仲を仕事の意欲につなげていることが嬉しかった。

私は、いいよ、とだけ返事をして笑って見せた。



「よし、完食!ご馳走様でした」

「わわ、蓮ちゃん早っ」

「お風呂掃除してくるね」

「あっちょっと待って」



慌ててご飯をかきこみ、お風呂掃除に向かう彼女を引き止める。



「ほへ、ほうふいほはんほうほう」



蓮ちゃんの傷だらけの指に絆創膏を貼る。



「防水の絆創膏」

「そう。なかなかいいよ…掃除、一緒にしよう」

「うん、ありがとう」



学生みたいに腕を組んで歩き始める。

廊下を通る紅ニ点の笑い声。

むさ苦しい真選組屯所に、すこしばかりに花を咲かせた。


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