銀魂 攘夷
□放課後の坂田くん
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寝床からでると、斜陽が本尊を照らしていた。その眩しさのせいか、鼻水のせいか、意識がまだぼうっとする。
西の窓を除けば淡々と陽が沈み、台所の東の窓を見に行けば、磨りガラスは群青色に染まっていた。
「ゆきちゃん、もう良くなったのか」
「大人しく待ってなよ。俺ら高杉さんに釘刺されたんだ、手伝わせるなってさ」
「うん、ありがとうございます。今日は大鍋なのね、美味しそう」
「ああ、皆で精をつけような」
仲間のうち3人が、夕飯の支度をしていた。出汁に野菜の柔らかい匂いがゆきの胸を温める。
ゆきは膝掛けを片手に、皆が集まっている部屋に向かう。何やら話が盛り上がっていた。
「今日の戦果は高杉さんだな。気迫がいつにも増してて。返り血も浴びないほどの速さで相手を斬っていったのには痺れたなあ」
「いやいや、銀時さんだろう、知らねえのか?相手の裏を掻く奇襲、作戦勝ちよ」
「2人ともあの闘いっぷりで無傷なんて信じられねぇよな。最強だよなあ」
黙って聞いているつもりが、無傷だという話に驚きの声をあげてしまう。すると、ゆきちゃん元気になったのかと輪に迎えてくれた。
「あの、2人とも無傷なの?私が晋助に会った時は...」
「そうだな、無傷は無理があるだろ。寺に戻ってきたのを見た時にはボロボロだったぞ」
「銀時も?」
「ああ、そりゃあ酷い怪我で。敵陣にそんなに強い奴がいたのかと思っちまったよ」
「銀時、何処にいるか知ってる?」
「そうさなあ...」
ちょっと見てくる、と慌ただしく席を立つ。
戸を開けるところで辰馬が声をかけた。
「ゆき、おまん何処いくんじゃ?もう外も暗くなるし体調も...」
「ごめんなさいお父さん!ちょっと銀時探してくる」
「いや誰がお父さんん」